転生の時に会う女神様に一目惚れした俺の告白ループ

もおきんるい

女神様っ!!!



「女神様!!俺、貴方に一目惚れです!!」


「?!!」←絶句




初めての異世界転生で、俺は彼女に心を奪われた!!

そう、彼女は・・転生の女神!!そしてここは転生の間。正式名は知らんけど。


女神は転生するにあたって、いろいろな要望とか、その世界の説明だとかしてくれるお方。

漫画や小説なんかでよくある設定だと思っていたが、俺が転生者になるとは!

そして登場したのが、金髪碧眼の超ド級の美女!!年齢は多分25くらい?

しっとり落ち着いた佇まいだったんだ・・・ちなみに俺は享年31な。



「あなたの転生先ですが」


「俺、あなたが好きです!!」


「転生「俺の彼女になってください!!」


「あの「俺、あなたのために努力します!!」


「「この通り!!お願いします!!まずは友達からでいいです!!女が「人の話を聞きなさーーーいっ!!」


あ、怒った顔も綺麗・・・


本当綺麗な人だな・・・恋人には無理か。俺のスペックが・・って、俺の体、影みたいになってる!

死んだの火事で黒焦げだったからか?!だからか!返事をしてもらえなかったのは!!姿形がまっくろくろすけだからか?



「・・・・・・・です。わかりましたか?」


「え?はぁ(あ。聞いてなかった)」


「では、転生をします・・ハァ・・」


「あ!ちょっと待って!!返事を「行きなさい!!」





・・・という訳で、ちっとも聞いてなかった俺は、チャランポランな状態で転生したのだ・・・


ちょっと苦労しちゃった!暫くステータスが見れなかったよ!開き方とか聞いてなかったからね!



に跳ばされたのは、元の世界のヨーロッパの中世みたいな所。


この世界には魔法が無かった。チェ。魔法使ってみたかったのに・・・



俺は王都の商家に生まれた。

父親に仕込まれ、商人として生きた。

結構な金持ちになったが、無実の八つ当たりで殺されて命を落とした。


享年31歳。おお、前世と同じ歳で死んだよ。







「・・あれ?」


「まあ!」



ここは・・・転生の間!!そして・・女神様!!


え・・・と。おお!!今回転生した体でここに来た!!結構イケメンでしょ?

この顔、女神様好みかな?


「うわ!また会えました!!女神様!!(今の)俺の顔どうです!」


「ま、まあ・・・こんなこともあるのね・・ようこそ転生の間へ・・顔、ハイハイ」


あ。反応薄っ。


「やっぱり綺麗だな〜!!転生先でも、女神様以上の美人にはお目にかかれませんでしたよ!」


「あ、はい・・二度目なので説明は省きます」


「前はちゃんと聞いてなかったから最初は苦労したけど、もう手順は覚えてます!」


「そうでしょうね・・スキルで希望はないですか?」


「え!スキル選べたの?」


「あなた何度聞いても返事がなかったので、こちらで選びました」


「あはは!!女神様があんまり綺麗で、ポーーッとしちゃって!」


「・・・・どんなスキルを望みますか?」



女神様が指し示す空間に、ステータス画面が現れた。


「えーと。じゃ、魔法が使いたいです!」


「了解しました・・では「女神様!俺、転生先で頑張ってきます!待っててください!」


「・・・では転生します」


「行ってきまーーす!あなたに相応しい男になって帰ってきます!!」


もうくるなーーー・・・微かに聞こえた・・





次の転生先は、巨大な尖った柱がニョキニョキと生えた殺伐とした風景。

魔法が何をするにも必要な世界で、俺はごく普通の才能しか無い魔法使い見習い。


でも頑張った。


前々世でも前世でも、ここまで頑張らなかった。

本気で頑張った。


そしてここ『魔法の石城』の魔法使いの4人衆、『赤の魔法使い』に抜擢された。


だが外国の魔法使い達と戦い、命を落とした。享年31歳・・・また!!





「ただいま帰りましたーーー!!」


「きゃあ!!」


驚かれてしまった。また来ちゃったからね。というか帰りましたって言っちゃった。

今回はちょっと根暗顔です・・アピールせんどこ。


「また帰ってこれた・・これはもしや、運命?(トゥンク・・)」


「やめてちょうだい!!怖いわね!!どうなっているの?」


「そりゃもう、運「やめてーーー!!」



怒られちゃった。自分に当てはめると、確かに怖いな。

でもまたあの美しいお姿を見られて俺は感激だぜ・・


商人、魔法使いと極めています、俺。次は何になろうかなーー。



「次は戦士か騎士で!強くなってきますよ!!あなたのために!!スキルは剣特化で!!」


「もう、いいから!行きなさい!!」


「行ってきまーーす!!またスキルアップしてきまーーす!!」


「だまらっしゃい!!」





剣の世界。


という事で、一番最初の世界?の中世よりも前の時代に来た。

銃も大砲も無い、原始的な武器ばかり。

剣はエリート中のエリート、もしくは貴族しか持てなかった。


俺は平民からのし上がって、武勲を立てて、褒美に剣を師団長より賜った。

師団長と共に戦場を駆け巡り、国を守った。


師団長はやがて将軍まで上り詰め、俺も一緒に昇進して師団長になっていた。


だが敵兵の卑怯な矢が将軍を襲う。それを庇って、俺は死んだ。享年31歳。






「お待たせしました!!ただいま帰りましたよ!」


今度は筋肉キャラ。ちょっとムキムキ。アピールやめとこその2。


「あ、うん・・お帰りなさい」


「うわ!歓迎された!お帰りって!」


「違います!もう何度目・・多分ここに戻って来ると思っていました!」


「女神殿の御姿再び見る事が出来て、私は感激であります!あ。騎士口調になってしまった」


「騎士だったせいか、キリッとしているわね」


「はい!益々自分が成長したことを実感します!・・ところで女神殿」


「なんでしょう」


「私、何故毎回毎回31歳で死亡するのでしょうか」


「そうね・・そのせいでここに戻ってきてしまうのかも知れないわ。早速調査を」


「では私、次の希望スキルは武術向上で!!」


「ハイハイ・・はぁ・・行ってらっしゃい・・」


「あなたのために!もっともっと強くなって来ます!!では御無礼!!」






今度の転生先は、遠浅の海が望める島。


ここには有名なタートルハーミットが住んでいる。彼に師事し、武術を学んでいるのだ。


10歳までここで修行し、島を出て冒険をしながら武術を極める日々。


そして世界武術大会で見事5連覇を成し遂げ、島に戻るもタートルハーミットが何者かに殺されていた!


師匠を殺した犯人を追って数年、遂に犯人を見つけて一対一の戦い、相討ちで俺は死んだ。


またも享年31歳。




***************************** 女神side >>




そろそろ帰って来る頃かしら・・ああ、来たわ。


「お帰りなさい」


今回は程良い筋肉の武闘家ですね。あら。これは気に入っていないのかしら?


アピールタイム、とか言いそうだったのに。くす。


「なんと!!先に挨拶をしていただけた!!もしや俺に惚れて「もう慣れです、慣れ」



全く・・・お調子に乗りすぎ。



「あはは!それでも嬉しいですな!ただいま帰りました・・すぐ行きますが」


「そうだわ。あなたがいつも享年が31歳なのを調べましたが」


「はぁ・・・それで?」


「何かあなたが悔いを残しているのではないか、と思われます」


「悔い、ですか。そうですねー・・悔い・・・ありまくりですね」


「それは?」


「恋人、奥さんが出来なかった。多分それです」


「まあ・・・転生先で、出会いはなかったのですか?」


「そりゃ・・無いことはなかったんですよ」



ちくん


胸の奥が、微かに痛みました。


「でも・・・あなた以上の方がいなくて」



とくん


痛みとは違う何かを感じました。なんだか胸があったかいです。


「私は面食いですからねー!あなたのことばかり考えていました!」


彼はニカッと笑いました。


「でもまだ私はあなたに相応しく無い。もっともっと、頑張ります!」


そしていつものゲートに歩いて行く。


「次は僧侶のスキルで!それでは行ってきます!」


「・・行ってらっしゃい」


私は消える彼を見送って・・苦笑したのです。

次に帰ってきた時は、もう少し優しくしてあげましょう。





***************************



わたしが次に転生したのは、何十年も戦争を続けている戦地だった。


僧侶の見習いだったが、ちょっとでも回復呪文が使える者は、子供も駆り出された。


あちこちの戦地を転々とし、負傷した兵を治し続けた。


そしてある日、わたしは開眼したのだ。人を癒す力を覚醒させたのだ。



大僧侶として、更に大勢の人々を癒し続け・・・


わたしは・・・天に召されたのだ。


多くの人々を癒し続け、力を使い果たしてしまったのだ。






***************************** 女神side >>



「お帰りなさい」


けれど彼は返事をしません。


今回はすごく綺麗な美青年だったんですね・・


眠るように横たわる彼の傍に寄り、ペタンと床に座り。

私は彼の頭を両腕で抱きしめます。


死んでしまった。

本当に、今度こそ逝ってしまった。


今度戻ったら・・彼に・・・


「聞かずに死んでしまって・・」


ポタポタと涙が溢れて滴る。


彼の顔にも、滴がポトポトと落ちて濡らする。


彼の元気な声は、もう二度と聞けない。



「?!」


腕の中の彼が、ゆっくりと消えていく。


頭の重みも、感触も消え、存在そのものが消失してしまった。


「あ。ああ・・・あああ!!だめ!!消えないで!!消えないでぇ!!」


彼の頭を持っていた腕の格好が、彼が先程までいた証明。


「・・・逝かないで・・・」



床に座り込み、背を丸めて泣き続け・・・




「女神殿」


「!」



振り返ると彼が微笑んでいます。

先ほどの僧侶の姿で、すごく美青年な彼です。


背中には両翼が。まあ、これって・・もしや・・


「職業全制覇、神格を得る事が出来ました!これでお仲間です。あなたに求婚出来ます」




私は拗ねて彼の顔を見ずに明後日を向いているけれど、どうやら彼はニコニコ笑っているようで、何度も私を慰め、謝って。


最後にはちょっと強引に抱きしめられました・・・






『転生の空間には、仲睦まじい男女の神々がいませり』




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