現実と虚構のはざまで――

第32話までのレビューとなります。

主人公の男子高校生・遥を中心に紡がれる恋の学園物語。
校内での嫌がらせから壁際に追い込まれた同級生の篠原。遥は彼女を庇うことで物語は始まります。彼女の手元に散らばった一冊の雑誌『Lunaphelle Online』、そのロゴが遥にとって瞼の裏に焼きつくように離れませんでした。検索の結果、遥はそれがオンラインゲームであることを知り、その世界へと足を踏み入れ、次第にのめり込んでいきます。
そこでゴリマッチョ男『ゾンデビさん』と出会い、仲を深め、かけがえのない存在となっていきます。
そして現実世界でも『ゾンデビさん』と会えることになった遥。しかし、そこで待っていたのは想像をはるかに超える美しくも可愛らしい女の子でした。現実と虚構のはざまで生じるこのギャップが読者の期待値を超え、彼女とふたりだけの世界で繰り広げられる恋の展開にドキドキが止まりません。この構成美に目を見張るほど魅せられることでしょう。
恋愛ベースで進行するさなか、ところどころで散見される掴みどころのないどこかみえない闇の部分。それらが伏線の糸で手繰り寄せられるころには、恐らくまったく見え方の異なる仕掛けが明らかとなっていく――そんな予感を抱かずにはいられません。

これは恐怖という嵐の前の静けさなのか。
はたまた、行く末の恋に忍ばせた巧妙な罠なのか。
きっと何かが起こる……そんな恐怖の淵を感じつつ先を追いたくなる恋愛ホラーを体感してみてください。

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