イミテーション

Kei

イミテーション

本物が好きだ。本物しか使いたくない。しかし物騒な世の中だから、やむを得ず偽物も使う。よくできた偽物を。高級腕時計はオマージュウォッチを。貴金属はイミテーションを。ブランド服飾雑貨はコピー品を。


そもそも違いのわからない人間に本物を見せても仕方がない。なにせ「わからない」のだから。


「Keiさん、いい時計を付けてますね。やっぱり違いますねぇ!」などと言う始末。

外側しか見ていないのだ。


偽物を本物と思い込んで、本物として扱う。

わからない人間にとっては、本物も偽物もない。同じなのだ。

だから偽物を見せておけばいい。



俺が帰ってきた。


「ご苦労さん。どうだった?」


「打ち合わせは無事に終わったよ。いつもと変わりなしさ」


「200年もこんなことを続けてるのに、誰一人、おかしいと思わないとはね」


「まぁでも、いつもの人たちも、ずっと同じだからね。200年間」


「構わないさ。本物でも偽物でも。それらしけりゃ同じだ」

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イミテーション Kei @Keitlyn

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