【第一部 《序章前奏曲(オラトリオ・プロローグ)》 ―二人の少年、邂逅)する時―】

プロローグ

 ――「光あれ」。


 この世界は、そんな神様の言葉をきっかけに生まれた――そう言われている。


 ある日、神様は再び、「光あれ」と、創世の言葉を唱えた。


 すると、世界は、目がくらむほどの激しい閃光に包まれた。



 ――こうして、古き世界は生まれ変わり、新たな世界が誕生した。


 逃げ惑う人々。


 泣き叫ぶ幼子。


 焼け焦げる熱波。


 吹き荒れる爆風。


 崩壊する建物。


 朽ち果てる死体。


 その全ては――人智じんちを超越した異形の怪物・《ヒューマネスト》の魔の手によって、もたらされたものだった。


 神様が、どうして今になって、世界を創り変えようと思ったのか……それは誰にも分からない。


 しかし、神様の気まぐれで創り変えられた世界は――地獄と呼ぶことすら生温いほど、どこまでもむごたらしく、残酷な光景だった。


 ……父さん……母さん……俺は――――。


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 ――ピピピピピ……ピピピピピ……。


 ――〝Future-Phone〟(この時代の携電話端末)のアラーム音が、夢の世界から現実へと、俺を引き戻した。


 もう何年も見ていなかった……いや、見るはずのなかった、あの向こう側の世界。


 そこで広がる景色は、やはり変わらず、反射的に吐き気でかえりそうなほどに、リアルなものだった。


 あの嫌な焦げ臭さすら、鼻の奥にまだ残っている感じがする。


(……本当に夢であってくれれば、よかったのにな……)


 一般的に夢とは、潜在意識に刻まれた記憶や体験を、脳が処理して生まれるもの……らしい。


 つまり、俺が見ていた惨劇こうけいは、夢物語などではなく――ただ、なのだ。


「…………行くか」


 悪夢という名の過去の記憶にうなされていたせいで、あまりにも気分が悪い。まさに最悪の目覚めだ。


 けれど、俺には立ち止まっている時間はない。


 『俺は、この残酷な世界を変えるために、強くならなければならない』。


 そう自分に言い聞かせるように、両手で顔を何度も叩く。


 そうやって、まだおぼろげな視界と意識を叩き起こした俺は、ベッドを離れる。


 最低限の身支度を終え、自動で開かれる鋼鉄のドアを抜けた。


 その瞬間、未来へと繋がる今日という時間が、始まりを告げた――。


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【Twenty Fifty Babies】

 -2050.03.13:Dual Destiny,Damnation & Deliverance-


 (本作のタイトルジャケットは、以下のリンクから)

 → 🔗[https://www.pixiv.net/artworks/133799135]

 または、プロフィール紹介文のリンクから!


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