番外編 小さなエロリスト①


 <今回は田中さん視点です>



 何度も自己申告しているが、あえて言おう!『私は腐女子』だと!


 なぜ、今更そんなことを言うのか?

 それは私が、今、銭湯の洗い場に居るからだ。


 おっと! 早とちりをしてはいけない!!


 今私が居るのは、あくまで女性の浴室だ!


 マンガやアニメなどでよく“お風呂回”なる物があって『ムフフ♡』な状況に陥るのが定石なのだが……現実は異なる。

 銭湯に於けるうら若き乙女(ここで私自身、胸を張っても“殿方からは”怒られはしないだろう)の人口比率はごくわずか。大抵はおねーさまなのだ。 あと不必要に燥ぎはしゃぎ回るガキンチョが少々


 この事象から類推できる事


 それは


『男性の浴室』も同じようなもの!!


 私が垂涎する“暁人サマ”や“城谷サマ”のような方がおられる訳はなく……とどのつまりトド集団……

 こんな妄想を繰り広げながら……

 ジャバジャバとシャンプーを流していた私はふと気配を感じて、水しぶき越しに見上げると……そこまでの背丈のない男の子が……パタパタと駆けて行った。


「う~ん!! 未就学児では無さそうな……あれ、この間ポスター見たぞ! 就学児の混浴は今は条例違反のはず??!!」と思わず、彼を目で追う。


 でも しなやかに“裸の木たち”をすり抜けていくその様は……まるで“ニンフ”のようで……

 私はアタマの中のスケッチブックを大急ぎで広げていた。


「まあ、画力の足しになったのだから……良しとしよう!」


 そう独り言ちって私はシャワーを止めた。


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