すももたろうと四匹の害虫(むし)ども
稲佐オサム
第1章〜5章(まとめ読み)
ばあさま、すももを拾うの巻
むかしむかし、ある村に、子どもができずにしょんぼりしていた、おじいさんとおばあさんが住んでおった。
ある日――おばあさんが川で洗濯をしていると、
ぷかぷか流れてくるのは……まさかのすもも!
「おやまぁ、川にしては、ずいぶん酸っぱそうな果実が……。」
ころころとした見た目に、つやつやの皮。
おばあさん、うっかりそのすももを自宅に持ち帰り、
半分に割った――そのとき!
\ぷるんっ/
中から赤子が現れたのだ!
赤子はすももの香りとともに、ニッコリ笑った。
「こ、これは……『すももたろう』と名づけましょう!」
こうして生まれたすももたろうは、すもも由来の高酸性体質で、蚊も近寄らぬ肌を持ち、幼少から村の虫除けとして重宝されて育ったのである。
⸻
第二章:害虫襲来!畑がやられた!
数年後、すももたろうが立派な青年へと育ったころ。
村を悲鳴が襲った――!
「畑が!畑がぁぁああああ!」
「葉が、葉がボロボロやないかーい!」
そう、やってきたのは恐るべき四匹の害虫軍団――
• アブラムシ将軍:汁をすするのが趣味の、甘党チューチュー虫。
• カイガラムシ婦人:体を葉に貼りつけ、動かず吸い尽くす、沈黙の殺し屋。
• シンクイムシ少尉:果実の芯を狙い撃つ、内部破壊のプロ。
• ハダニ軍曹:乾燥を味方に葉を枯らす、赤い粉塵の悪魔。
この四害に村の農作物はやられっぱなし!
すももたろうは立ち上がった。
「よいか。すももで育ったこの身体――虫には強い!」
「わしが退治してくる!いや、“酸味”の力でな!」
⸻
第三章:旅のおともは、害虫キラーズ
すももたろうは、おばあさんお手製の「超すっぱい干しすもも弁当(殺虫効果あり)」を腰に下げ、旅に出た。
その道中、仲間が加わっていく。
●キジ:名前は“アシッド”
ハイテンションで飛び回る、酸性雨生まれの鳥。
「オレ、酸っぱいモン好きっす!」
●サル:名は“ビネガー”
バルサミコ酢で育った、味にうるさい猿。
「うちの畑もやられたんや。手ぇ貸すで!」
●犬:名は“スパイク”
レモンの香りを放つ、虫よけ訓練犬。
「ワンワン(俺の吠え声は蚊も逃げるぞ)」
この三匹とともに、“害虫の巣”へ向かったのだった。
⸻
第四章:決戦!すももの香り vs 四大害虫!
巣に辿り着いたすももたろう一行。
そこでは、害虫たちが大宴会中であった。
アブラムシ「汁はうまいし~♪」
カイガラムシ「この葉に一生貼りつきたい~」
ハダニ「カッラカラの乾燥こそ最高~!」
シンクイムシ「芯しか勝たん!」
しかしそこへ、すももたろうが叫んだ。
「おまえら、村の畑を返せぇええ!」
「喰らえ、“超すっぱい干しすもも”ボム!」
💣すっぱーん!💣
すももたろうが投げた干しすももから、超酸性の香りが放たれ、害虫たちは耐えられず、ぽろぽろと葉から落ち、逃げ出していった。
カイガラムシに至っては、貼りついていた葉からベリっと剥がれたとたんに涙目で逃走。
カイガラムシ「乾燥肌になっちゃうじゃないのぉ~!」
⸻
第五章:酸っぱい勝利と、まろやかな未来
戦いの後、畑に緑が戻り、果実もみずみずしく育ち始めた。
村人たちは口々に言った。
「すももたろう、あんたがいてくれてよかったよ!」
「来年からは“すもも祭り”にしよう!」
こうして、すももたろうと仲間たちは村の英雄になり、すもも畑は“虫知らずの楽園”として有名になったとか。
すももたろうはその後も、害虫退治の旅に出かけては、農地を救い、笑顔とすっぱさを振りまいたという――
⸻
🎌おしまい!
すももたろうと四匹の害虫(むし)ども 稲佐オサム @INASAOSAMU
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