天職という言葉はあるが、不思議なことに明確な対義語は日本語には存在していない。よって、いささか語呂は悪いが、私は今だけそれを『獄職』と呼ぼうと思う。
向き不向きはあれど、人はなんとか折り合いをつけて職業に向かう。我慢の程度も様々、ちょっとだけ我慢すれば平気というのもあれば、できるなら逃げ出したいというものもあろう。
逃げ出すことを許されず、自分の心を偽り続けた結果、何かが砕けてしまったとして、それでもそこに残ったものがあるとすれば、それは一体何だろう?
他人から見れば異常者かもしれない。
しかしそれが、人間の罪と業とを目を背けること無く正面から受け止めた結果だとしたら、果たして彼を笑うことができるだろうか。
声を枯らして泣ける時が来たなら、そこで出た鳴き声は命の炎のあげる絶叫だろう。
獄職に呪われ、それでも人間たらんとした姿を、あなたは正面から見つめることができるだろうか。そしてそこに、尊厳にも似た何かを見出だすことができるだろうか?