第17話ローズピンクの灯りを灯す
そろそろ秋冬の装いを楽しむ季節が巡ってくる。私は昨年、ストールを買い替えた。
選んだのはロイヤルパープルとローズピンクの大判でボリュームのあるストールで、買ったばかりの時は少し派手すぎるだろうか、と思っていたのだけれど、30代半ばにしてグレイヘアになり、ブルベ冬でもあることから、それぐらい色味の鮮やかなものの方が顔映えがいいことに気づいた。
またコートも、独身時代に纏っていた高価なウールのものから、ユニクロのベージュカラーのダウンのロングコートに移行したので、余計にストールの存在感は大切になってくる。たとえコートが廉価なものでも、顔まわりが華やいでいると気分も印象も変わるものだ。
そして何より、冬ざれの色の絶えた街に出ると、ローズピンクやロイヤルパープルのストールが色を添えてくれるのがうれしい。街に小さな灯りを灯すような気持ちになるのだ。
さらに今年は、昨年は私自身の不調のため叶わなかった帰省をしようとパートナーと話している。諸事情あって数年前に実家と絶縁し、今となっては帰るのは義実家の家だけだ。
電車で片道二時間の道のりは、持病のある身にはなかなかハードルが高く、義実家とは良好な関係を築いていて、先日も義実家とはオンライン飲み会をしたばかりではあるが、やはり道中調子を崩してしまわないか、気がかりになってしまう。
そうした時に、義実家に纏って行こうと思っているローズピンクのストールはお守りになってくれるのではないかと期待している。美しい色を身につけることは、自分自身の気分の底上げを図ってくれるだろうし、同時に盾ともなってくれるだろう。
私はこの春夏の間には、ロイヤルパープルとホワイトの二色で彩られたシルクのストールを巻くことが多かった。冬になってもそうした鮮やかな色を服に添えたいという気分は高まっている。
また、なかなか持病のため美容院に行くことが叶わず、今年から訪問美容を利用しはじめたのだが、繁忙期を避けて、十一月になったら髪をふたたび切って、ボブヘアにしようと思っている。
髪が短くなる分、ストールで彩りを加えるとバランスがいいのではないかと期待しているところだ。昨年はロングヘアでストールを巻いたので、また違った印象に仕上がりそうで、それはそれで楽しみでもある。
訪問美容師の方はふんわりとしたシルエットに仕上げてくださるので、少しボリュームのあるグレイヘアのボブヘアに、ローズピンクのストールが合わさると、品よくまとまるような気もする。
装いについてはそこまで値の張るものを買える身ではないのだけれど、こうして組み合わせの妙でファッションを楽しむのもまた乙なものだ。制限のある中でも自分の良いと思うファッションのあり方を模索しつつ、この秋冬もまた昨年よりもアップデートした自分なりのおしゃれを見出していきたい。
作業用BGM:Cecile Corbel/La Fiancée
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