第15話1年間に5万分以上聴いてきたSpotifyをやめてみることにした話
1年間に5万分以上、世界のSpotifyリスナーの上位5%に入るほど使い倒してきたSpotifyを退会する運びとなった。物価高がいよいよ迫ってきて、Spotifyも値上げしたことに加えて、ここ数ヶ月は底値を狙って輸入盤の海外アーティストのアルバムを買い漁ってきたことから、そろそろ抜けても良いだろうと判断した。
そうは言っても夜の間はずっと音楽を聴いているし、イヤフォンだと長時間つけすぎるあまり外耳炎に何度も見舞われるので、今はやむなくスピーカーで小音量で流しているような有様で、無事にやめられるのかどうか、先行きはわからない。
だがカティア・ブニアティシヴィリのCDをコンプリートして、加古隆のCDも粗方集めて、あとはSpotifyで気に入っていたジャズやクラシックのCDを集め終えれば、それで事足りるという気もする。
新たなものに触れる喜びは尽きないし、せめてどんなに弱っていても、そうした知的好奇心を音楽だけには向けていたいと思うのだが、この先一生サブスクに課金し続けるのか、とこれまでにも何度も自問自答することがあった。
ただ今の手持ちの音源だけで満足するという境地にはなかなか至れないだろう。私はこれまで通りことあるごとにCDを買い漁るだろうし、それが悪いことだとも思わない。
現にBonoboやFlying LotusといったテクノアーティストのCDに関しては先達のテクノ愛好家のパートナーとシェアしているし、先だってもFlyLoの“Yasuke”を買って届いたばかりだ。
10月4日にはカティア・ブニアティシヴィリの“Kaleidoscope”と、LGBTQのテナー歌手であるフィリップ・ジャルスキーと、クラシックギターを奏でるティボー・ガルシアによる“A Sa Guitare”(邦題「ギターに寄す」)が届く。
どちらも輸入盤を購入したので、国内盤よりは幾らか廉価でありがたい。ひとりのLGBTQとして、ジャルスキーの歌声にはエンパワメントされるところが大きかったし、秋になるとクラシックギターを聴きたくなるので、この秋は聴き倒したい一枚になりそうだ。
そこから芋づる式にアーティストを辿っていっても良いだろうし、クラシックに再会してまだ日も浅い身なので、フォーレやショパン、ラフマニノフといった愛好する作曲家を扱っているCDは少しずつでも集めていきたい。
最近興味を持っているのはアリス=紗良・オットで、彼女の“The Chopin Project”は落涙するほどに感動したのだった。“Nightfall”も素晴らしかったし、できればこちらも追々手に入れたい。
そうして時間をかけて音源を集める喜びもまたひとしおだ。音楽はやはり音源を買ってみなければわからないものなのだなということは、加古隆の主要なCDの大部分を揃えてみて初めて実感したことでもあったので、本を作家読みするように、気に入ったアーティストのCDはできるだけ網羅したい。
ジャズの方はもっぱらモダンジャズを聴いてきたので、こちらは今となっては入手不能なものも多いかとは思うが、手に入る範囲でCDを購いたいと願っている。
元々実家にいた頃は年に二度ほどはクラシックコンサートに出かけていたのだが、彼女らと袂を分ち、持病が篤くなってからはそれも叶わなくなってしまった。
今はYouTubeの海外のクラシックギター専門チャンネルで演奏を楽しむのが関の山と言ったところで、もう少しそうした演奏に触れる機会を持てれば良いなとも思っている。
いずれにせよ音楽との出会いはこれからも尽きないだろうし、Spotifyとはまた違った音楽体験を味わえるのではないかと期待している。
作業用BGM:Paul Desmond/Feeling Blue
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