第5話2025.08.15-17 この週末の進捗について



☑️ネタ収集3つ

 ここ一ヶ月ほど持病の調子が思わしくなく、特にここ二週間ほどはさらに不調になっているので、作業の前段階としてのネタ出しやネタの仕込みに時間を費やすことが増えたように思う。通院する際に利用するタクシーで流れているCMも、私にとっては一つの情報源でもあり、世間とのわずかばかりの接点でもあるので、タクシーに乗った際には終始CMを眺めている。主にビジネスマンに向けた広告が多いのだが、私は個人事業主ではあるけれど、会社勤めはしていないので、世の中の動向を把握する材料にはなるが、直接的に仕事でタクシーを活用することはない。

 とはいえ、日経新聞が出稿しているCMはラグジュアリーな情報もあったりするので、そうしたものを創作に活かせないかと考えている。その他、AIに関するビジネス面での活用についても、AIのヘビーユーザーとしては関心があるので、特に注目して観ている。

 もう少し情報を深掘りする価値はあるのだろうが、自分自身の仕事に直接的にAIが関与することは今のところないので、日々の生産活動における産婆術の相手としてのAIにしか興味はないのだが。この辺りについてはこのあともう少し踏み込んで語ることにする。同時に私自身はSNSを使って情報を得ることはあまりなく、もっぱらWEBサイトやWEBマガジンを眺めたり、論文を読んだりして情報を得ていて、それらの魚拓も必要に応じてメモアプリに保存している。

 そうしていくつか新たに魚拓を取ったネタがあり、その出所は伏せるが、今後とも少しずつアクセスして読むサイトを増やしていければと思っているところだ。この休日のネタ収集としては3つほどに留まってしまった。もう少し量が欲しいところなので、引き続き日々のリサーチを欠かさないようにしたい。


☑️論文を読む

 推しジャンルの11kのグッズが午前10時から予約開始ということもあり、朝まで起きて夕方ごろ起きる生活を送っている身には、10時まで起きていた方が何かと都合がいいので、メモアプリにその都度感じたことをログとして残しつつ、7時ごろまで粘ったものの、いよいよ天然の眠気が来た。長らく不眠状態が続いており、徹夜をして9時辺りまでなら起きていても眠気が来ないタイプの社会不適合者なので、今回も10時まで起きていられるだろうと思ったが見通しが甘かった。

 仕方なく仮眠を取ることにしたものの、予約をして買うグッズのために徹夜をしている自分が滑稽に思われて、ふと岩波書店前で西田幾多郎の『善の研究』を買うために徹夜をして、地べたに布団を敷いて待機していた人々の写真があったことを思い出し、検索すると、松井健人「偽史言説としての『西田幾多郎全集』(1947年)購入徹夜行――教養文化史再検討のために」という論文が出てきたので、徹夜明けの午前7時に読んだ。

 曰く、あの写真はネットなどで教養主義が一般の人々に認知され、広まっていたことの証左だとする言説とともに流布することが多いが、実際には『善の研究』には海賊版が多数作られていたこと、現地の岩波書店でしか当時は買えなかったことから、転売目的で並んでいたのだろうと結論づけられていたのだった。

 今も昔も変わらないものだなと思いつつ、私はただ推しジャンルのグッズをコレクションするためだけに、実店舗でもなくネットで注文するだけだというのに夜を徹しているのだと思うと、いっそう滑稽で、一種の喜悦を味わいながら一時間半ほど仮眠を取り、午前9時半に起きて、午前10時3分に無事にグッズを予約したのだった。

 それからしばらく気持ちが昂って眠れず、服薬して眠りについたのは13時半ごろという有様で、起きてみたらすでにそのグッズは在庫残りわずかとなっていた。徹夜をして予約した甲斐があったとは思うが、我ながら愚かしいにも程があるなと思う。


☑️Copilot AIと議論を重ねて幾つか提示してもらい、ひとまずDLしておく

 また後日、とあるゲームの「因習村」をコンテンツとするイベントが始まったこともあり、自分自身がさながら「因習村」のような土地柄の村で育った身であることから、それはポストコロニアル的な問題や、地方差別の問題をはらんでいるのではないかという疑問を抱き、Copilot AIと議論になった。

 不勉強の極みなので、まだサイードをじっくり精読したり、その他の他者表象をめぐる問題について、深い知見を得るには至っていないのだけれども、そのような土地に根づいた民俗宗教が色濃く残る土地で育った身として、やはり「因習村」のような扱いを受けることには抵抗を感じざるを得ず、それはフィクションだから問題ないとは、私にはどうしても思えない。

 土地の生産物のみならず、深刻な例を挙げれば原発などが挙げられるのだろうが、都市というものは常に地方の産物を収奪することに明け暮れてきたので、その構造はこれまでもこれからも変わらないのだと思う。

 その力の不均衡さと、歪さ、そしてそれらに対してあまりにも無自覚・無批判に娯楽として地方を消費するまなざしに耐えかねているのは、私自身が育ての親である祖母を亡くし、故郷をあらゆる意味で喪失したという体験とも相まって、深刻な痛みを伴って胸に迫ってくるのだが、こうしたことを都市の人間に伝えても、「お前は娯楽作品に対して何を言っているんだ」という顔をされておしまいなのだろうと思う。

 だがあらゆる創作物は批評の俎上に載せられて然るべきであることを考えると、「単なる娯楽・フィクションに過ぎない」というのは、その作品への侮辱にも等しいものだとも思う。

 また自分自身がそうした村の出身でもあり、同時に大学で民俗学をかじっていたことも、そうした痛みと無縁ではいられなくさせているのだが、この辺りについては都市に生まれ、都市で育ってきた人間と合意形成を図ることはほとんど不可能だろうと思っている。

 サブカルチャーにおける「因習村」の元祖である『ひぐらしのなく頃に』よろしく、一生村の中にいられれば良かったのだろうかとも思うし、そもそも都市部への度重なる転居がなければ私は今の持病を患うには至らなかったのではないかと割と本気で信じている、養老孟司を崇敬している人間なので、都市の人間中心主義な考え方も、その左右問わずその先鋭化した思想やイデオロギーに対しても、一切の関心を払えない。

 都市の病理というものを感じることが多くなってきた昨今、故郷の村への郷愁は強くなるばかりだ。そうしたこともあっていくつか論文をDLしたが、まだまだ読めていないので、こうして眠れない夜に、あるいは朝方に読んでいきたい。


☑️2000字程度の小説を書く

 別所に2000字程度の掌編を書いたが、ここではあまり詳しく語らない。ただもう少し粘り強く作品と向き合う胆力がなければどうしようもないなと思う。あと何日かかけてじっくりと推敲を繰り返し、納得のいくレベルにまで仕上げたい気持ちもあったのだが、お盆休みなのでより多くの人に読んでもらえるかもしれない、という軽薄な欲に負けてしまった。それは認めざるを得ない。

 いくつかまだ書いている途中の小説があり、そちらはまだ完成までに時間を要するので、ひとまずつなぎも兼ねてという気持ちもあるが、こうしたスタンスそのものが意識が低いと言われてしまえばそれまでなのだろうとも思う。今一度気を引き締めたい。


☑️エッセイ「通院と傷を語ること、近作の創作百合SF「今夜、記憶を溶かす踊りを、あなたと」について」を書く

 SFというジャンルが傷を語る/語られる上で有用なジャンルである、ということは実際にあらゆるメディアの作品に触れていても感じることではあるのだが、まだまだ掘り下げられていないテーマでもあるので、作品を読んだり書いたりすることを通じて、より深めていければと思っている。おそらく人間がより本質に迫ろうとする時、そこにはその人間の傷と無縁ではいられない記憶があり、それを呼び覚ます力学を持っているのがSFというジャンルなのだろうと思う。

 それは伊藤計劃作品や、彼が仰いだ小島秀夫作品、さらには私がわずかながらも触れてきたSF作品にも重要な要素として含まれている。

 ハードSFとかソフトSFとかいうジャンル分け自体に私は興味があるわけではなくて、ただ人間の本質を捉えるためのジャンルとしてのSFが好きなので、自分自身の書くものはSFとしては低級なものなのだろうと思っている。そこには壮大な世界観もなければテーマ性もない。

 ただ傷ついた人間たちが、一夜を乗り越えるだけの話を書くことが多い。その傷を語ろうとする時、SFという現実から超越した時空間の中においてのみそれが可能になるということなのかもしれない。こうしたことについてはすでに先行する言説も多数あるだろうし、私が今更書くまでもないことかもしれないが、このような視点を持ってSFに触れていくことができれば、それは自分自身の癒えがたい傷を癒す契機となるかもしれないし、ひいては読者の方の心をなぐさめることにもつながるのかもしれないとも思う。


作業用BGM:METAL GEAR SOLID4 GUNS OF THE PATRIOTS ORIGINAL SOUNDTRACK

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る