あなたは誰かを見えていますか?

東井タカヒロ

あぁ、生きたい

いつも同じ道、変わらぬ景色。

 今日も僕はこの道を眺めている。

 挨拶をしてくれるもの、食べ物を分けてくれるものなど沢山いろんな人に会ってきた。

 僕はそれが何よりも好きで楽しみだった。

 毎日この道を見てるだけあってか、この道を通る人の変化には敏感だ。

 ある時は落ち込んでいたり、またある時は嬉しそうだったり。

 僕はいつだってこの道を見守っている。

 ここから見られる景色はやっぱり好きだ。

 ここにやってきてから早数十年。

 今は挨拶をしてくれる人は少なくなってしまった。

 あぁ寂しい。最近はそう思うようになってきた。

 交通量も減り、人の通りもかなり減ってしまった。

 このままこの道は寂れていくのだろうか。

 そう思いながら道を眺めていると1つのタンポポが道に生えているのに気付いた。

 いつからあっただろうか。その日から僕はタンポポを眺めるようになった。

 雨の日も風の日も、タンポポはそこに生えていた。

 タンポポが遂に花から種になったころだろうか。

 風に吹かれ空へ散っていく。また楽しみが無くなるのかと思うとどうもやるせない気持ちになる。

 「こんにちは」

 そう言っておばさんは道の横に1つの花瓶を置いた。また僕の楽しみが増えた。

 また参拝者が増えると良いな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あなたは誰かを見えていますか? 東井タカヒロ @touitakahiro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ