Lovers or Liars

whirlx2

◆Prologue:Beyond the Screen◆

Ll Prologue 1 Ai Training

「生成AIの進化は、業務効率化だけでなく、創造性の領域にも大きな影響を及ぼしています」


講師の声が、プロジェクターの光とともに会議室に響く。


私は、うつむき加減にノートパソコンを開いたまま、スクリーンに投影されたスライドをなんとなく眺めていた。


生成AI、対話エンジン、画像技術、入力文の工夫……。それっぽい専門用語が並んでいる。


つまらないわけじゃない。内容はちゃんと聞いていれば面白い。でも、今は気持ちが入らない。


「……ん?」


ポケットに入れていたスマホが震えた。ちらりと覗き見ると、通知にはこう表示されている。


【lupus7.ruru_officialがストーリーズを更新しました】


……やば。


講習の最中にスマホ見てるのって、社会人としてどうなの。そう思いながらも、親指が勝手にロックを解除していた。


「そこの方、スマホは控えてくださいね」


ビクッと肩が跳ねた。私だった。完全に見られてた。


「は、はい、すみません……」


恥ずかしさと、インスタに気を取られていたことへの後悔と、なにより“彼”のストーリーが気になって仕方ない気持ちとで、ぐちゃぐちゃな心のまま私は姿勢を正した。


あと30分──このAI講習が終わるまでは、まともな社会人のふりをしていよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る