この一文がとくにドストライクなんですが、読んでいる間に何度か刺さる文章が出てきてしびれました。最高です。
私(聖)の最初からなにもかも諦めているかのような姿勢と、双子の妹・愛奈のなにもかも意のままにしようとするかのような態度が対比になって、物語の明暗と照応していて、全体の質感がつかみやすかったです。
また、私(聖)の見る物聴く物触れる物に対する言葉に実感がこもっていて、ひとつひとつの所作が思い浮かぶようでした。季節はずれというじゃ季節に取り残された哀愁が漂っていて、そこが「九月に食べる西瓜」というテーマをうまく消化しているとも思いました。