第5話 隠れた港

ひなびた食堂で、かき氷を注文した。

店内は外から見たよりも明るく感じた。

古い木のテーブルにのった、かき氷は、少しざらざらしていたが美味しかった。

海辺でかき氷を食べる、そんなことをしたかったので、満足だ。

サザエ丼はまた今度、と決めて、あまり長居せずに外へ出た。


松林が見えてくる。それは島の崖に沿って生えており

100メートルおきに、松林の隙間を縫って岩場へ降りるための

散歩道が作られていた。

散歩道というより、藪を切り開いて、丸太を敷いて階段を作っているだけ。

嵐の日は、松林を抜ける風の音が激しくて、きっと不安な気持ちになるだろう。

今も少し、なにかの声のように聞こえるのだから。


道が細くなり、白い坂道を上がりきったところで、小さな灯台が見えた。

この灯台は本州からよく見える。

夜になるときらきらと点滅し、島を見つける格好の目印だ。

夜と星座と灯台の明かりは、同じ役目を果たすことに、今更ながら気づいた。

当たり前のことなのに、こんなことをふと思うなんて、離島とは不思議なところ。


下り坂を道なりに行くと、隠れた港。

ホテル専用のクルーズ船がここから出航するらしい。

隠れた港に立つと、彼方の岸辺にはなにやら浮いている人々の姿が見える。

サップとシーカヤックが楽しめるところだ、と事前に聞いていた。

おそらくそれのどちらかに違いない。


サップとシーカヤック、やったことはありますか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る