章題から結末まで、仕掛けに満ちた世界

ダークファンタジーとゲーム的な分岐を融合させた個性あふれる作品でした。
戦闘描写は熱量が高く苛烈でありながら、力を取るか、人間性を守るかという冷徹な問いも同時に突きつけられる。

最終的に提示されるのは一本道のエンディングではなく、読者の心に残った像そのものが結末になっています。
読み終えたあとに「自分は誰の旅を選んだのか」と自問させる後味が魅力的でした。

個人的にものすごくヒットしたのが、各話のタイトルです。
「callback」「interrupt」「switch point」など、プログラミング用語が散りばめられていて、世界観に人工的に書き換えられていくような余韻を感じました。

ただの飾りではなく、物語の分岐や割り込みといったテーマと自然に重なっていて、エンジニア心をくすぐられる仕掛けになっているのが最高でした。

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