カウンセリング

女1「君、人を殺そうと思ってるでしょ？」

女2「なんですか急に？　そんなことないですよ」

女1「嘘つき」

女2「嘘じゃありません」

女1「じゃあ、君の部屋にたくさんあるあの銃は何？」

女2「な、なんでそのことを知ってるんですか？　もしかして警察？」

女1「違う、私は別の世界線の未来のあなた。タイムパトロールに頼まれたの。違う世界線の君が大量殺人を犯すのを過去に戻ってやめさせてくれないかって」

女2「きっと幸せな世界線にいるあなたには私の気持ちなんてわかりませんよ」

女1「わかるよ。私も君と同じようなことをしようとしてたから」

女2「……どうやったら私、あなたみたいに幸せな大人になれますか？」

女1「別に私は幸せじゃない。周りから幸せそうに見えるように演じてるだけ」

女2「どうしてそんなことしてるんですか？」

女1「親がそう望んでるから。でも本当は、あの日に死んでおくべきだったと思ってる。前に銃乱射事件に対して、犯人がもう少し耐えていれば普通の大人になれたのにってコメントしてる人がいたんだけどそんなことない。あの日に実行出来なければ、薄暗い感情をずっと背負ったまま死んだように生きていく羽目になる。こんなに辛いことはない」

女2「でも、私にはあなたが演じているようには見えません。本当に幸せそうに見えます」

女1「演じるの上手いからね。そのせいでタイムパトロールからの直々の指名でカウンセリングを頼まれたの。一番似たような経験をしている世界線で一番に幸せそうに見えたからって理由で。あと、幸せなのは少し本当。私、このカウンセリングのあと自殺するつもりなんだ〜。ヒース・レジャーが28で死んだから私も同じ歳に死のうと思って」