勿体ない!- 誰にでも出来る創作の最短ルート

カクナ ノゾム

序「勿体ない!」と思う作品に贈りたい、言葉(読み飛ばし推奨)

  まず最初に。

  この章はただの宣言でしかないので、実際的な技術は次章から。

  なので、この章はただの自己満足。

  読み飛ばし推奨。



■はじめに


 ――さて。

 ネットには、創作論を声高に語り、コーチングや講座でお金を取る人がいる。

 それを利用する人たちを否定するつもりはない。


 だが、もっと手軽に、もっと効率よく、物語創作を学ぶ方法を私は知っている。


 カクヨムで様々な作品を読んでいて、何度もこう思ったことがある。


「勿体ない!!」


 発想は面白い、キャラクターは魅力的、物語のアイデアも光っている。

 けれど――文章の運びや視点の迷子、場面転換の乱れで、作品の良さが半減してしまっているのだ。


 そんな「勿体ない」を救う一冊がある。

 随分と古い出版物になるが、中島梓(栗本薫)の『小説道場』がそれである。


 ■本屋で出会ったBLハウツー本


 私の友人に、ゲーム業界で二十年以上現役を続け、いくつかのヒット作・名作に関わってきたゲームシナリオライターがいる。

 彼が初めてシナリオの仕事をもらったとき、実はまったく物語を創作したことがなかったそうだ。


 困り果てた彼は本屋に駆け込み、タイトルだけで手に取ったのがこの『小説道場』。


 ちなみに彼は熱心な『グイン・サーガ』ファンで、中島梓=栗本薫であることは知っていたので、信頼感はあったらしい。


 ――ところが家に帰り、ページを開いて仰天した。


「えっ……耽美小説、つまりBLの書き方!?」


 背に腹は代えられない。

 彼は第一巻と第二巻を一気に読み込み、最初の仕事を終えた。

 幸い、その仕事はメーカーからは好評で、次の仕事に繋がることになる。


「あの二冊だけで、俺は最初の仕事をやり終えたんだ」


 物語とは、受け手の心を動かすこと

 彼が最初に衝撃を受けたのは、物語の核にある普遍的なルールが、BLハウツー本に余すところなく書かれていたことだった。


 物語をどこから始めるか


 誰の視点で描くか(人称の基礎)


 読みやすく、迷子にさせないための文章作法


「シナリオと小説は違う。

 でも、物語を語るという点では同じだ。

 読者やプレイヤーに届く文章の基礎は、あの本に全部ある」


 読みやすさは物語の寿命を決める

 彼は長年の現場で、こんな失敗例を山ほど見てきた。


 三人称の“神視点”乱用で、読者が混乱する


 一人称で心情と地の文が乖離し、感情が伝わらない


 場面転換が雑で、プレイヤーや読者が迷子になる


 こうした初歩のミスは、プロの現場でも致命的だ。

 だからこそ、最初に基礎を押さえることが何より重要だという。


 基礎を制した者だけが、自由に飛べる

「基礎をなめた作家は、必ずどこかで詰む」


 これが彼の口癖だ。

 人称、視点、段落、読みやすさ――

 これらの初歩を理解しているからこそ、自由な演出や高度な表現が可能になる。


 まったくの素人だった彼が、この二冊だけで最初の仕事をやり遂げ、二十年プロとして生き残った。

 その事実が、何よりこの本の価値を物語っている。


 ■結論


 ネットで創作論を追いかけるのも、コーチングを受けるのも悪くはない。

 だが、もっと手軽に、もっと効率よく創作を学びたいなら、このシリーズを、あるいは最初の二冊を読むだけでいい。


 『小説道場』はBL(耽美)小説のハウツー本として刊行されている。

 しかし、語られているのは物語創作の普遍的な基礎だ。


 今ならKindleで電子書籍が出ているので入手は容易だ。

 こんな宣伝をしても、一円も入ってくる訳ではないのだが、あまりに勿体ないが多すぎて、つい余計なことを書いてしまった。


 この二冊を読まずに遠回りするのは、本当に勿体ない。

 繰り返すが、BLに興味がなくても学ぶ価値は絶大だ。


 ちなみに、このエッセイは初心者向けの技術論をメインに書こうと思っている。

 だってみんな、自分なりの面白いは持ってるでしょ?

 それが一番大事。

 後はそれを伝えやすく語るだけなんだから。


 最後に書くけど、この文章を読んで理解して実践してもPVが上がったり、星がもらえたりすることはない。少なくとも直結はしていない。


 しかし、これから書く技術を知らなかった人には、知った後、きっとあなたの物語を、より伝えやすくできることが出来るようになると思う。


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