消えてしまった夢は、きっと新しい夢を運んでくる
- ★★★ Excellent!!!
人は未来を夢見ます。
何者かになろうとします。
だけど、思い描いた何者かになれる人は僅かです。
本作は、ままならない人生を送る主人公が、野球をする少年と言葉を交わした束の間の心情を描いた物語です。
将来、プロ野球選手になりたいと真っすぐに夢を語った少年。
主人公のなかで、その少年と幼い頃に同じ言葉を言った自身とが重なったのでしよう。
少年のひたむきさが、主人公を新しい夢へ向かわせる後押しとなったようです。
どんな結果になろうと、関係ない。
前向きに生きることは、夢と呼ばれるもの抱えることに他ならない。
彼は、そう気がついたのです。
思い描いた未来を得られなかった人は言います。
世間を知らなかった。努力が足りなかった。才能がなかった。運が悪かった。
すべては、本当のことなのでしょう。
だけど、並べられた言葉たちに意味はありません。
その人にとっての夢は、もう潰えたのですから。
人は、何度でもまた新たな夢を見なければならないのです。
目指す夢の名前が変わったとしても、それを大事に抱えて生きるしか、しかたがないのです。
だって、人生は続くのですから。
人は誰も、夢を持たずに生きれるほど強くはないのですから。
しっかりと夢を抱いた若者も、何度目かの夢を抱え直した大人にも、心に届く物語です。
どうぞご覧くださいますように。
きっと、元気をもらえます。