ジオ擬人化。

初空 林檎

プロローグ

第1話 「オスマン帝国の死」

三日月の夜だった。

チャナッカレの海に、トルコ帽と男が一人浮かんでいた。


オスマン帝国。

中東からアフリカ・ヨーロッパまでを広く領土に持つ国家である。

……国家で、あった。

フクロウが羽ばたいていく。

岸にはオリーブの枝が一つ落ちていた。

今、海に沈むようにして浮かんでいるその男はオスマン帝国そのものであった。


この世界には、まるで国民性・風土・地理そのものになったような「人」が存在する。

「擬人化」と言った方が良いだろうか。


午後8時30分。

オスマン帝国は死亡が確認された。

死因は溺死である。


ここから世界が動く壮大な物語 - 「ジオ擬人化」が始まっていくことになる――。

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