第3話

第三話 無職、商談相手にカップラーメンを出す


殿様から出された最初の課題は――


「“未来の便利な食べ物”を持ってこい」


商談だ。


ヤバい。俺、未来の商品なんて持ってない。


けど、バッグを開けたら……神がいた。


カップラーメン。

賞味期限ギリギリの、大学時代の残り。割り箸もあった。


「これは……未来の“茶碗蒸し”か?」


「ち、違います。湯を入れて三分。奇跡の麺です」


「三分とな!? 煮るでなく、蒸すでなく……?」


侍たちが固唾をのんで見守る中、タイムマシンから汲んだ水を鍋で沸かして注ぐ。


三分後――

香りが、あたりに広がった。


「うまい……! うますぎる!!」


「これが未来の…麺……!」


武士たちは泣きながらすする。殿様は感動のあまり腰を抜かした。


「この味……ワシの心のノルマ、すでに達成じゃ」


勝手に感動してくれた。


このままいけば、就職どころか――俺、江戸で社長になれるかもしれん。

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