精進料理

 

第1話

女1「最近、精進料理食べたんだ〜」


女2「え? なんで精進料理?」


女1「修学旅行のコースに組み込まれてたの。私は絶対にそのコースは嫌だって反対したのに、多数決で押し切られちゃったんだ」


女2「へ〜、精進料理食べたい人がそんなにいたってこと?」


女1「違うよ。そのコースには、スキーが組み込まれたから選ぶ人が多かったんだと思う」


女2「それでどうだった? 美味しかった?」


女1「めちゃくちゃ不味かった。豆腐ハンバーグが特にやばかった。私が今まで食べてきた豆腐ハンバーグは本物の豆腐ハンバーグじゃないってことに気付かされたの」


女2「そうなんだ。じゃあ、ヴィーガンの人がいつもイライラしてて、お寺の人がイライラしてないのってこの食事に対する考え方から来るのかな? 片や理想的な生き方で、片や修行の一環でしょ」


女1「んー、どうだろう? 私以外の子は普通に完食してたからなぁ。私が偏食気味なのもあるのかもしれないけど」


女2「いや、肉魚抜きの食事が美味しくないのは偏食以前の問題でしょ。きっと皆、無理して食べてたんだよ。他の人は完食してるのに私だけ残してるのはなんか嫌だって。日本人ってそういうとこあるから」


女1「でも私は残したよ」


女2「あんたはハーフだからね」


女1「そっか! だから、他の人が食事を残したらお寺の人に嫌味言われてたのに私は言われなかったんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

精進料理   @hanashiro_himeka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ