第14話
くるんくるん13
『よろしくお願いします』
挨拶が終わって、みんなが一斉に頭を起こします。皆んな笑顔なんです。
いいなあ、見ていろこっちまで笑顔になっちゃいます。
ハイって掛け声が聞こえて、みんなは一輪車にぱっと乗りステージ横のパネルの裏へ戻って行ってしまいました。
でも、フロアには、5人の子たちが残っています。私よりも小さい子達で可愛いの。微笑ましいの。
そんな子たちが黄色いおそろいのコスを着て横に並んでいます。そしてお互いの顔を見る仕ぐさをすると、一輪車も持って動き、円陣を組みました。皆んな手を差し出し、重ねます。
「はい」
1人の子が手を上げと大きな声を上げました。音楽が始まり、円陣を組んだ子たちが一斉に手を上げ、一輪車の乗って、その場でサァ〜って回り出すの。
皆んなの仕草がピタリと合って、さっそく拍手が上がります。
凄い、凄い。私も目一杯、拍手しちゃった。
数回回ったら、パッと散って、一列のなってフロアも一周まわります。
奥まで来たら向きを変えて、観客席に向かって、一列に進んできました。
手を広げて進み、ある所からペダルから足を離してタイヤの上に乗せるの。そして履いているシューズのそこでタイヤを前に擦るようにします。
しっかりと前に進むではありませんか。上手い、私なんかより、ずっと上手です。年は下なのにどれくらい乗っているのだろう。 で、私たち観客の手前まで来て止まります。両手を上に広げてピタって。皆んなニコって笑って可愛いな。
すると、左右に分かれて向きを変えて、フロアの奥へ走っていってしまいました。
フロアの端で間隔を開けて、一度立ち止まり、対面になりました。走りだして、そしてフロアの中央ですれ違う。
あっ、1人、バランスを崩してる。両手を振ってバランスを取ろうとしたけど、残念ながら転んでしまいました。
その子は足から前に落ちて手をついています。一輪車は倒れて、跳ねて少し遠くにいってしまいます。
大丈夫? 痛そうって見てたら、その子すぐに立ち上がって倒れた一輪車を拾ってサドルに跨り、他の子に追っかけて演技を続けたの。偉いなあ。
私があれくらいの年だったら、泣きべそかいて身動きしていなかったと思うのね。
感心していて見ていたら、二手に分かれて、フロアの奥へ。1番奥まで行くと、向きを変えて、こちらに向けて斜めに走って来てフロアの真ん中で交差して進みます。一人、また一人、もう一人。
凄い、よくぶつからないものだと感心してしまいます。全員、無事に走りきって、グルーって、回って、フロアの真ん中で合流しました。
その中の二人が並んで立ちどまり上げた手を繋いで、アーチが出来ます。
何と、そのアーチの下を、残りの3人が潜っていったのよ。なんかお見事すぎて、拍手しちゃいました。
そのあと、一列になって、再びフロアの真ん中に並んで走って行きますそうしたらですよ。
皆んな手を繋ぐの。手を繋いで、皆んなで走って行くの。
先頭の子が走る向きを少し変えて、弧を描くように走り出すと円あるく走りだし。とうとう、先頭の子が一番後ろの子と手をつないでしまいました。輪になってグルーングルーンと走李出しました。
お見事! 私も拍手。周りからも拍手です。
拍手が鳴り止む頃に、輪が解けて、皆んな、四方へ散っていく。前二人、後ろ3人で感カウを取って、2列に並び直していく。
何をするかと息を呑むと、みんな片足ついて、もう片足でペダルを漕いでグルグルと回り出す。
片足でペダルが回せるんだ。皆んな、綺麗に揃って回ってる。凄い、凄い、凄い。手が痛くなるまで、叩いちゃった。
数回回って、回るのはやめてしまった。一輪車に乗ったまま。手を上に広げて、停まってる。もう少し見ていたかったな。
そうして皆んなは手を回して、一度止めて、一輪車を降りて、一箇所に、集まって、もう一度、広げた手をグルって回した。姿勢が決まって、ピシッとなる。
『ありがとうございました』
皆んな揃って、笑顔で挨拶して演技も終りました。
そして、観客席に手を振りながら、ステージの横へ帰って行きました。
観客席の拍手が続きます。それに負けじと痛いのも構わずに私は手を打ち続けました。
いいもの見られて良かったです。
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