【女装×女学園】可愛くて、ごめん――女学園ハーレムはじめました

【女装×恋愛系作 専】ラーマリティー

プロローグ?……ヒロイン?×ヒロインの邂逅

第1話 女装男子、女子校に入学!?

「……はぁぁ……本当に、やるのか、俺……」


 朝、鏡の前で深く息を吐く。


 ネクタイではなく、胸元にきゅっと結んだ深紅のリボン。

 制服のズボンの代わりに、ふわりと揺れるプリーツスカート。

 くるんと巻かれた茶色のウィッグに、淡いピンクのグロス――昨日までの俺には無縁だったアイテムばかり。


「……っ、うわ……」


 鏡に映るのは、どう見ても“女の子”。

 ――だが、その正体は男子高校生、天城 悠(あまぎ はるか)、16歳。


「まさか……俺が女子校に通うことになるなんて……あり得ないだろ……」



 あれは一か月前のこと。


 両親の突然の海外赴任で転校が決まった俺に、父が“知り合いの伝手”で紹介してきたのは――聖ミスティリア女学院。

名門中の名門。だが入学条件は女生徒であること。


 つまり――。


「『女装して、絶対にバレないこと』……って、無理に決まってんだろッ!?」


 もし正体がバレれば即退学。しかも全寮制。逃げ場なんてどこにもない。

 それでも今日から俺は、“女の子”としてここで生きるしかない。


「……ふぅ。よし……覚悟を、決めろ」


 鏡の前で姿勢を正し、スカートの裾を指先でそっとつまむ。汗ばんだ指が、わずかに震えていた。高鳴る鼓動を押し込めて、心の中で新しい名をつぶやく。


(俺は――天城 悠花。今日から、女の子……)


 スリッパの音を響かせ、寮の玄関の扉を開けた――その瞬間。


「――あら? あなたが新入生の“悠花さん”かしら?」


 舞台の幕が上がるように、ひとりの少女が目の前に現れた。

 陽光を受けて輝く銀糸の髪。青灰の瞳は澄みきり、立ち姿は絵画のように優雅。

 制服の着こなしも乱れなく、所作の一つひとつに育ちの良さが漂う。


「わたくし、鳳院 静流(おういん しずる)と申します。この寮の上級生代表ですわ。以後、お見知りおきを」

「よ、よろしく……お願いします……!」


 やっばい……出会い頭から、完璧なお嬢様……!

 てか近い! 距離が近い! 香りまで……高級な紅茶みたいにいい匂いだ……!


「ふふ、そんなに緊張なさらなくてもよくってよ。……でも、なんだか不思議ですわね」

「へっ……!?」

「あなた、どこか……そう、少年のような目をしていらして」


(……もしかして、もうバレた?!)


 ま、まだ会って三分も経ってないのに!?


「は、ははっ! 後、ご冗談を……。 わ、わたし、女の子ですよ? ソンナワケ……」

 

 笑顔を引きつらせながら誤魔化す俺。

 ああもう無理……女学院で女装してなんて、これから生き延びられるのか……?


 ――こうして、スリルと緊張、そして少しのときめきに包まれた

 天城 悠 改め “天城 悠花”の女学園ライフが、静かに幕を開けたのだった。

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