彼女たち

@asahina_you

第1話 宮田凛

「この問題、わかる人」────


私以外に手を挙げた人はいなかった。集まる視線に唾を飲み込み答える。────


私は頭がいい。学年で1番。張り出される模試のランキングで1番上に宮田凛の名前が乗るのは当たり前になりつつある。 そして、スラリとした手足、小さい顔、黒目がちな瞳に、小ぶりな鼻と口。自惚れではなく、客観的に見ても整った容姿をしていると思う。「宮田って、可愛いよなぁ。完璧だもんな」高校に入学してから数え切れないほど耳に入ってきた言葉だ。だから、今私の周りにはたくさんの友達がいて、かっこよくて優しい彼氏がいる。



なんてことは無い。「宮田って生意気だよな。」「それなw、全然可愛げねえし、よく見たら騒がれてたほど美人か?」「3組の小西さんの方がよっぽど女の子らしくて可愛いよなぁ」男子で私のことをよく思っている人などいるのだろうか。


私は自分が嫌いだ。女である自分が嫌いだ。もし自分が男だったら?目立っても嫌われていなかったのだろうか。何回そんな妄想をしているか分からない。黙っていればいいのか。誰も解けない問題を努力で解いてしまってはいけないのか。わからない。真顔でイヤホンをさし机に突っ伏していると隣のクラスの女子がふわふわと笑っているのが聞こえる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る