第14話 悪魔と天使
享「いってえなあ。」
享は魔力の込められていない純粋な力だけで吹き飛ばされたことに驚いていた。
享(契約したことで魔法やスキルとは別方向の力を会得したのか。)
享は興味が出たので、躱し続け、その力の本質を測った。
男性「契約したはずなのに何で当たんねぇんだよ!」
女性「避けるな!」
享「...。」
かれこれ30分くらい経っただろうか。
享はなるべく経っている場所から離れないように最小限の動きだけで2人の攻撃を躱わし続けていた。
享は悪魔と天使の能力を整理した。
1.身体の基礎スペックが上がっていること
2.悪魔・天使から補助が時々入ること
3.敵意・殺意を読んでいること
これが契約した人間の一部の能力だと推察した享はこの戦いを終わらせようと死毒之王で2人を眠らせた。
享「とりあえず帰るか。」
享は美羽の場所へ向かった。
ショッピングモールを出ると人集りができておりテレビ局的なものも来ていた。
マイクをこちらに向け、話を聞こうとしてきたが、それを払い除け美羽を探した。
幸いすぐに見つかったため、お姫様抱っこで建物に飛び移りながらできるだけ遠回りで帰った。
享(マスクはつけてたし、美羽もなるべく見えないようにした。)
享は面倒事は避けたかったのだ。
美羽を家まで送り、天使と契約した男性と悪魔と契約した女性について話したあと、ニュースを見ていた。
享「契約した人が複数箇所で暴動を起こした、ね。」
暴動を起こした人は全員魔力もスキルもない、蔑まされてきた人が多いらしい。
享(俺が夢?で聞いた悪魔と天使を仲間にしろっていうのはこのことか?)
享(だが古竜っていうのは何だ?)
情報が足りない今では何もできないと享は思った。
享「もうそろそろ帰ろうか。」
美羽「もう遅いしね。」
その時、ニュースから緊急速報という単語を聞き取った。
美羽「えっ?」
享も釣られるように見るとそこには、人型の魔物のような生物が2匹おり、悪魔と天使だと言っており、十数人のBランクブレイカーが殺されたという。
享「そんな突然に?」
美羽「そうらしいね...。」
2人の間には少しの沈黙が続く。
享「俺、行ってみるよ。」
美羽「...貴方ならそう言うと思った。」
会っている機会は少なく、まだ互いのことをあまり理解していないのに、ずっと一緒にいたような感じで全てを見透かしながら美羽は言った。
美羽「気を付けてね。」
享「ああ。」
享は荷物を美羽の家に置いたまま行った。
享は数秒も経たないうちに到着した。
享「お前らが悪魔と天使か?」
悪魔と思わしき黒光りしている生物と、天使と思わしき白光りしており、輪っかのようなものが頭の上にある生物が雄叫びをあげる。
享「結構好戦的なんだな。」
雄叫びを上げた直後、連携も何もない攻撃がすぐさま2匹から飛んでくる。
享(究極スキルを使い続けた影響か、魂が若干見える。)
享は毎日究極スキルを使うことである程度ならば魂が見えるようになった。
享(あまりにも不安定で、今にも崩れそうだ。)
1発の火力はとても重々しく、当たったところがクレーターになっていた。
享(契約した人間よりも全然能力の強さが桁違いだ。)
享「ま、これくらいでいいか。」
享は攻撃に転じ、人間でいうこめかみの部分を天使に、鳩尾の部分を悪魔に同時に固めた拳を放った。
享「あっけなかったな。」
享は美羽の家へ向かった。
「面白いことをしてくれるな、人間。」
黒く禍々しい地獄のような風景に玉座のようなところに座っている人間?が水晶越しに享を見ていた。
神々しい天国のようなところで頭の上に輪っかがある人間?も同様に享を見ていた。
享「ふう。」
享はため息をつき家の椅子に座った。
背もたれにもたれかかり、空を仰ぎながら悪魔や天使、そして古竜について考えていた。
10分くらい経っただろうか。
享は後ろに振り返り、少し後方に移動し、臨戦体制に入った。
享「誰だ。」
「気配は完全に消していた筈なんですがね。」
そこには、次元の裂け目とさっき戦った悪魔と同じ雰囲気を纏っている人間のような生物が立っていた。
「私に名前はありません。」
享「そうか。」
「強いて言えば魔層の案内人です。」
享「魔層?」
魔案「魔層とは悪魔たちが住んでいる場所のことです。」
魔案「そこに貴方をお連れしたいのです。」
享「何故だ。理由は?」
魔案「第七層:傲慢層のルシフェル様が享様に興味を持たれまして。」
享「そうか。」
魔案「なので魔層に行ける鍵を渡しておこうかと思いまして。」
そうして享は魔層の鍵を受け取った。
魔案「それを空気中に引っ掛け右に回すと、扉が現れます。」
魔案「いつでも来てください。待っております。」
言い終わると魔層の案内人は何処かへ消えてしまった。
享「今日は疲れたしもういいか。」
そして享は寝た。
時が過ぎるのは早いもので、もう古代探索の時間となり今、享たちは古代遺跡に着いていた。
享「俺が強いから、特例で2人の許可が出たのはありがたいな。」
美羽「ねー。」
現在2人がいるのは洞窟らしきものに入り、すぐそばにあった古代文字で書かれた石碑のところである。
享「生徒たちだけで自分の考えを出して欲しいからって大人が同伴しないのはちょっとな。」
美羽「でも、今私たちが付けてるペンダントで私たちの状況がわかるからすぐに助けに行けるらしいよ。」
享「まあ少し心許ないけどな。」
美羽「でも享くんなら、私を置いて行ったりはしないでしょ?」
享「当たり前だ。」
享は会話が終わると魔力感知を全力で行った。
享「なんか変な空洞があるぞ。」
美羽「何処?」
享が通路に少し逸れた道の大きな岩を片手でのけるとそこに道があった。
美羽「よくわかったね。」
享「まあな。」
先に進んでいくと少しずつ冷たくなっていった。
享「貯蔵庫か?」
最奥に辿り着くと、半壊状態の冷蔵庫らしきものから寒気が来ていることがわかった。
美羽「食べれるのかな。」
あたりには凍った食材が散らばっていた。
享は魔力感知によって見つけた何かの種子を袋に詰めた後、そのまま引き返した。
美羽「報告したほうがいいよね。」
享「いや、あそこはなんか大勢の人が集まったらいけない気がする。」
特に何事もなく古代探索を終え、享と美羽はそれぞれの家に戻った。
享「顔を出すか。」
享は前に造った世界に来た。
享「結構いい感じだな。」
そこには国があり、見渡すと人間から爬虫類の尻尾や狼、猫などの耳をつけたような人に限りなく近い生物が住んでいた。
ガルヴォルグ「帰ってきたのだな。主。」
享「ああ、ただいま。」
ガルヴォルグ「おかえりなさいませ。主。」
享はガルヴォルグに連れられ、国を一望できる城壁の上に登った。
享「範囲はどれくらいなんだ。」
ガルヴォルグ「この世界は無限に広がっているため、土地の一部にしか過ぎないでしょう。」
享「約100億の人数を、か?」
ガルヴォルグ「はい。」
享「それぞれの地の主とはどんな感じだ。」
ガルヴォルグ「他世界からやってきた異邦人的な感じです。」
ガルヴォルグ「そしてその土地に行こうとすると追い払われるので、この平原の資源しかとれておりません。」
享「学校的なものは作ったか?」
ガルヴォルグ「学ぶところは作りました。」
享「そうか。林業や農業、畜産はどんな感じだ?」
ガルヴォルグ「魔物を飼育したり、魔力を帯びた自然現象などに強い木材を生産したり、一般的な薬草の生産もしております。」
享「俺がいなくても成り立ってるんだな。良かった。」
享「そういえばなんでヴォルグは日本語がわかるんだ?」
ガルヴォルグ「人間の言葉をあれほど聞けば嫌でもわかります。字も作戦で書いた字を読み取っていたのでわかります。」
享「そうか。」
2人の会話が終わるとルミナヴェルグが急いで来た。
ルミナヴェルグ「大変だ。5匹の地の主が軍勢を連れてこちらに来ている。」
享が顔を出す。
ルミナヴェルグ「!お帰りになったのですね、主。」
享「ああ。ただいま。それより俺が対処しよう。」
ルミナヴェルグ「わかりました。案内します。」
最強の下剋上 もふもふなライオン @torakun123
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。最強の下剋上の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます