悲報!! 少子化の原因は○○にあり!?

 少子化の原因は若者の非婚化、晩婚化にあると言われる。なぜ非婚化、晩婚化するのか。ちょっと考えてみた。


 家族とは社会保障の最小単位である。

 昭和の初め頃までは、家事労働をはじめ、子育て、介護、看病などを家族で担ってきた。各人の負担を減らそうと思えば、ある程度の人数が必要だった。


 いうまでもなくそのころは家事労働を代替してくれる家電製品は未発達で、子育て、介護、看病を担う社会保障、公的保険も未整備であった。社会全体が現代とは比べものにならないくらい貧乏だったのであり、そんな過酷な社会で生きていくためには、嫌でも何者か他人と血縁結合を締結して仲間(子ども)を増やしていく必要があった。俗に「貧乏子だくさん」と呼ばれる現象だ。同様の現象は現代でも新興国において日々可視化されつづけている。

 貧困こそが結婚と出産を促したのである。


 よく

「若者の貧困が非婚化、晩婚化の原因」

 と言われるが、昭和初期までの貧困は、現代でいうそれとは比較にならないレベルで深刻だった。現代は当時と比較してはるかに豊かになっており、「ひとりでも生きていける」社会が実現したので、実際にそういった選択をする人が増えたにすぎない。


 貧乏だから結婚できないのではない。豊かになって非婚、晩婚を選択できるようになった、というのが結論だ。


 ここにいくつかの着想が生まれる。

 ひとつは、「家族縮小の歴史的奔流」である。

 古代、中世の巨大な氏族社会から、近現代の三世代、二世代同居。高度経済成長以降は核家族世帯が主流になった。

 社会が豊かになっていくにつれて家族は縮小し続けてきたのであり、令和のいまは個人単位まで細分化されつつある。

 この流れを逆行させることはできない。少子化対策として社会全体を貧困化させるなど本末転倒だからである。家族は今後も縮小し続けていくだろう。


 貧困は結婚を助長し、豊かさはこれを阻害するので、結婚適齢世代への資金援助は無意味ということになる。効果がない少子化対策はやるべきではない。


 夫婦といった家族関係そのものが必ずしも必要とされなくなりつつある世上、夫婦別姓の議論を続けること自体が意味を失いつつある。結論が出るころには夫婦という家族関係自体が稀有のものとなっているのではないか。

 

 夫婦を前提としない子どもを受け入れ、育てていく社会基盤をいかに構築していくか。

 この点にコミットした真の少子化対策こそ必要だと考えられるのである。

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