第二十六話 電透の雷鳴

東郷に案内されて2対1の対戦を始めるステージに向かった、大愛が電透と共に準備をしてステージに行くとそこはステージというよりプロレスなどをするようなリングに似ていて周りには第一部隊の夏祭りに参加している者がずらっと座っていた。




 そしてステージには昨日から見てきた和装の東郷の姿はなく筋骨隆々の上裸の姿になった東郷がいた、そして手にはグローブのようなものを付けていた。




 大愛と電透の2人は戦闘隊形になりステージに入ると周りから罵声が飛びだした




『引っ込めー!』『やめちまえー!』『そのリングに上がるなー!』




 いくらなんとなく想像は着いていたとはいえ、いきなりこんなに言われると流石に来るものがあるがその場を静めた者がいた




「静まれ!雷電隊長がお決めになさったことだ!それを認められないと言うやつはここから出ていって貰って構わない!」


 そう、その正体はなんだかんだでずっとお世話になった世子だった。




 大愛と電透は世子の方を見ると世子が薄っすらと微笑んだように見えた、すると東郷がドンと大きく構えながら目を雷鳴のように輝く開眼をしながら言い放った




「準備は出来たか若者よ!風紀委員会第一部隊部隊長!雷電東郷らいでんとうごうお前たちのためこの老いぼれ拳を振ろう!!!」




 この言葉が合図となり大愛と電透が飛び出した!大愛は魔具バサラに雷を纏わせ高く飛び、電透の雷の魔術は直接東郷に向かって降り注ぐ!このふたつの攻撃のタイミングが合わさった瞬間2人が叫ぶ!




「くらえ!落雷砕ライトニングブレイカー!!!」




「来い!お前たちの魔術みせてみろ!!」




 実は2人は一日目の稽古の時に大愛の提案で合体技の計画を練っていたのだった、電透の雷の魔力と大愛のフィジカルを合わせた技で、そのできは2人からするとなかなか悪くはないようなものだった、だがその攻撃をもろに受けたはずの東郷は片手でがっしりと防いでいたのだ、そしてその次の瞬間!東郷の前腕からとてつもない魔力量の雷の魔術が放たれた




「若者よ歯を食いしばれ!!受けてみろ!轟雷ごうらい!!!」




 その魔術を受けた2人はその一撃でステージ外に飛ばされてしまった。




 飛んだ2人の元に東郷が近ずき2人の手を取り大きなこう言った


「素晴らしかったぞ!!お前たちの魔術は!!わしのこのグローブに魔術の防いだ跡が付いたのなんて少なくともお前たちほどの奴らなら10年ぶりじゃ!ハッハッハッ」




 結果としては少しグローブに魔術を防いだ跡を付けただけだったが、雷電東郷の圧倒的な強さと自分たちでは歯が経つわけが無いということが分かった。




 そんな光景をステージの観客席の端の方から世子と共に眺める人影があった


「あれが全能力者か…世子はあいつのことをこの2日間でどう思った」




「 この2日間あいつは雷の魔術しか使っていなかったが、俺が転移魔術を使った時にほんの少しだが超の魔力を感じた気がしたよ、それも大きな、まぁ今のところは危険な片鱗は見せませんでしたよ、あとはあなたの部隊にあいつが行った時にご確認くださいよ、才賀さん」




 そしてその日の活動は終わりを迎え各自寮に戻った






 次の日大愛が第二、三部隊に行く準備をして向かおうとしていると昨日の寮に戻った時とは様子がいい意味で一変した電透が第一部隊の夏祭りに向かっているところに遭遇した。




 話をすると電透は夏祭りの期間中は雷の魔術をもっと高めるため第一部隊にしか参加しないそうだった。




 そして2人は「また今度!」と言って別れた、大愛がずっと手を振っているのに電透は少々呆れていたが少しだけ手を振り返した




 大愛は次に第二、三部隊が共同で行っている祭りに参加をすることに決めていたので祭り会場に足を進めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る