第5話 将軍の旅路、心の輝きを求めて
徳川
第17代将軍、徳川
それは、「人々の心の奥底に潜む、見えない争いの種」。
平和が長く続いたことで、人々は次第に退屈さを感じ、娯楽や快楽を求めるようになっていた。その裏側で、社会の歪みが少しずつ生まれ始めていた。貧富の差、孤立する人々、そして、心の闇に囚われる者たち。
「力で解決してはならぬ。人々の心を、もう一度奮い立たせなければならない」
彼は、将軍の座を離れ、一人の若者として、日本の各地を旅することを決意する。
「どうせ俺なんか、いてもいなくても変わらねえ…」
ヒデキは、そう言って、街の片隅で一人、項垂れていた。
「…そんなことはない。あなたには人のためになる、大切な役割があるはずだ」
ヒデキは
「俺には、そんなものねえよ!将軍様みたいな超天才には絶対に分からねえ!」
「私の力で咲かせた。だが、これを見て心に湧き上がったもの、それはあなた自身のものだ」
「…これは…俺の…」
ヒデキは、自分の心の中に、こんなにも温かい光があったことに、初めて気づいた。
「木刀?」
「武士道は、心身を鍛え己の能力と心を知ることから始める。何が正しいかなど、最初は誰もわからない。きっと何かを見つけるきっかけになる。それを共に探してみないか?」
「…わかった。手加減しろよ」
ヒデキは、その木刀を受け取った。
そして、将軍の座に戻った
「私たちは、力によって平和を築いた。だが、これからは、心によって平和を維持しなければならない」
こうして徳川の世は、力による支配から、心の力による共生へと、その形を変えていった。
その力と志が次の将軍に受け継がれる世で、日本全体を巻き込む大きな事件が起ころうとは、まだ誰も知る由もなかった。
次回『完璧な世界、不完全な心』
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