「猿花より花咲かジジイが好き」

さて、私が犬かな、君が猿かな。


私は存外ルールを守るし、主人に忠実なので、犬かな。


いくらでも、ワンと言うよ。


だからさ、君は猿だよね?

小山に登るし。顔、真っ赤だし、お尻も赤いしさ。

どう見ても、猿、だよ。

賢いのに、人間じゃないしなぁ。


あっ、ゴメン。

つい、本当のことを。


私は馬鹿正直だから、面と向かって言って、ごめんね?


君はさ、賢くて陰湿だから裏で色々と言ってるよね、謝らないでね。

そんな気、なさそうだし。


カニのおかあさん、殺すしさぁ。


嫌だな、コイツと鬼退治行くの。


別に、もう団子はそんな好きじゃないし。

帰っていいかな?


本当は私はね?

団子より花が好きなんだ。


なんだよ?

ジジイが花じゃ悪いかよ?


少なくとも、猿よりは花だよ。


花のふり、下手くそなんだよ、猿!!


おーい、聞いてる?

もう1回。


花のふり、下手くそなんだよ、猿!!

だから私は、花咲かジジイが好きなんだ。





《舞台裏》


犬にとっては、お花気取りの欲求不満な猿より、抹香臭いジジイの方がよほど好みらしい。


いいんじゃない。ギリシャ神話だと冥王も水仙だぞ。




#創作詩 #昔話パロディ #寓話 #風刺

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る