第1話から、英雄との出会いの場面が丁寧に描かれていて引き込まれた。
リザードマンウォーリアーに追い詰められたヴァニスを救うセイル・レセーブの登場は、王道の英雄譚らしい痛快さがある。しかし、この作品のいい所は、英雄が単なる「強い人」として描かれないことだ。セイル自身も傷を負っており、ヴァニスからポーションを受け取る時の「数秒ほど考え込む」という描写が、英雄という存在のプライドと誠実さを絶妙に表している。
「素材は全て君に渡す」というセイルの言葉と、「そんなわけにはいかない」と返すヴァニスのやり取りに、二人の誠実な人柄が自然に滲み出ていて、最初の話から人物への愛着が湧く。英雄の力が誰かに「託される」物語がどう展開するのか、続きが楽しみだ。
才能のなさに喘ぐ最底辺冒険者の青年・ヴァニスは、仲間に見捨てられ、死を覚悟するが、そこで彼を救ったのは、現代の英雄セイル・レセーブだった。しかし、その英雄は魔王との激闘の果て、死の呪いに侵されていて・・・・・・。
「君の行動は、英雄のそれだった。……そんな君に少しでも恩返しがしたいんだ」
自らの死を悟りながらも、絶望していたヴァニスに、セイルは「力」と「意志」を託す・・・・・・この二人の魂の交流の美しさと、英雄から力を受け継ぐという王道展開、さらにそこにセイルの切ない過去話が重なり、心が一気に鷲掴みにされます。
この作品には、思わず先が読みたくなる仕掛けが詰まっています。
通常、闘気か魔力のどちらかしか扱えない世界で、ヴァニスはその両方を手にする「デュアルアドバー」へと進化します。この「規格外の潜在能力」をどう開花させていくのか。また最強の力を得て即無双……ではなく、ヴァニスは新しい肉体と力に戸惑い、必死に訓練を重ねます。一歩ずつ、確実に「昨日までの自分」を超えていく過程が丁寧に描かれているからこそ、敵を倒した瞬間の快感が格別です。
そして、新天地で出会うイザル、シーナ、ファッサンという仲間たち。裏切りを経験したヴァニスが、彼らの真っ直ぐな熱量に触れ、少しずつ心を開いていく姿には思わず目頭が熱くなります。
最底辺だった青年が、英雄の遺志を胸に、自らの足で新たな伝説を刻み始める。その第一歩を体感してください。「どん底からの大逆転」と「熱い友情」を求めているあなたに、自信を持ってオススメします。