Special feelings

鳥羽 あかり

第1話


 私は一般的に言うと、変な人かもしれない。こういう時って、好きなアニメや好きな物を紹介したり、伝えようとしたりすることが妥当だと思う。なんなら、募集要項にも書いてあるし。


 でも、私には好きな物や好きだと感じる人が沢山いるわけで。そんな沢山の違う“好き”を6000字以内で紹介できる自信がない。っていうか、普通に紹介しきれない。選択しないといけないっていう残酷なことはしたくない。“好き”っていう感情に順位を付けるみたいで、嫌だ。


 だから私の出した答えは...。


 私は時間が好きっていう答え。好きだと思ったり、感じたりする空間や時間が好き。


 もちろん、物とか人でも、好きだと感じるものもある。でも、それはきっと一時的なものもあるし、それを同じ“好き”ではくくりたくない。同じにはしたくない。好きだと思うけど、違う種類の好きだと思う。


 例えば、そうだなぁ。分かりやすいのは、恋愛かなぁ。ほら、気になってる人を目で追いかけて、好きになったとするじゃん? あの淡い感覚と似てて、あれって諦めないといけない時が来たり、付き合って別れるってなったら“好き”っていう気持ちを手放さないといけないじゃん?


 私はそれが悲しいなぁ、って思ってて。だってあんなに楽しかったのに。ってなるじゃん?


 だから私は時間が好き。


 好きな人と話している時間が好き。

 家族とボードゲームをしている時間が好き。

 友達といつものようにたわいもない話をしている時間が好き。

 好きな本を読んでいる時間が好き。

 ご飯を美味しく食べられている時間が好き。


 これでも、れっきとした高校生なので、好きなアニメとか、推しとか、いるんだよ?


 いるんだけど、推しも変わっちゃうことがある。例えば、物語を読み進めていくと、最初は「なんじゃ、コイツは? 人の心ってもんがないんか?」ってなるような悪役にも、悪役になった背景を知って同情してしまうし。


 だから、今ここで私はこのアニメのこのキャラクターが好き!! って宣言しても、「数年後も同じキャラクターが好きか」と言われれば違うかなって。


 好きだけど、私は変わらない好きがいいなぁって思ってる。だから“好き”っていう感情にも、色んな種類があるんじゃないかって思う。


 そうだな。アレみたい。友情の好きか、恋愛の好きか、みたいな感じかな? なんか、小学校の時にも友達に言われた気がする。


「◯◯くんのことどう思う? 友達の好き? それともコイビトとかの好き?」


 こんな風に聞かれた記憶がある。そんなことを友達に言われた当時はショックだったけどね。確か、ちょうど思春期に入ります! って頃だったからね。男子は男子、女子は女子で話して遊んで当たり前って時期があった。でも私は「男子も女子も関係ない。みんな仲良く」がモットーみたいなところがあったから、ショックだったかなぁ。でも、なんて答えたか忘れちゃった⭐︎


 ともかく! 私は好きだと思ったり、感じたりするあの時間が好き。友達や家族、好きな人と話している時間は、全く同じ話ができるわけじゃない。つまり特別感が湧くでしょ? その時にしか感じられない特別な感情でしょ?


 だから、私は好きって感情に自覚して、過ごすあの時間が好き。“好き”っていう感情に順位や優劣をつけたくない。だって全部、私にとって特別で、私っていう存在が、世界に一つしかない存在が感じている感情だから。

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