借りてきた猫の角卓談話

@daikinzou

第1話借りてきた猫の角卓談話

 「相席だと・・・・・・?

 家畜の分際でこの我に、指図でもしているのか・・・・・・貴様」

 レストラン店内にて、中央部のテーブル席に一人で寛(くつろ)いでいる吸血鬼が、人間のウェイトレスの頼みごとに対し、不満を隠さず聞き返す。


 客である彼女の名は、ウ゛ァナ。

 胸元にリボンが付けてある黒と白を基調としたゴシックドレスを普段着のように身に着けている。

 髪型は金の短髪で、猫のように鋭い目の色は、鮮血みたいな赤。口内から牙みたいな犬歯を見せつけている。顔立ちは端麗で肌はモチモチ。背中からコウモリの翼が一対生えてあった。

 そして彼女は実は吸血鬼。人間の基準で外見は幼児そのものだが、本来の年齢は四百歳は超えている。

 しかし凡庸な人間達にとって重要な情報は、上記のことでは決して無い。

 この小説では、人物の戦闘能力はレベルで表示される。

 基準として人間の都一つを単騎で滅ぼせる上級魔族がレベル80だとすれば、ウ゛ァナの場合は、レベル100。

 百戦錬磨の騎士や、天才な魔術師ですら一切敵う道理が無い程、彼女は絶大な戦闘能力を有していた。

 そして恐るべきことにウ゛ァナは、相手のレベルを見ただけで分かる能力も有している。


 高圧的な口調と態度を取っているウ゛ァナから発される凄まじいオーラに炙られているウェイトレスは、喉が引き攣り、怯えているものの、説明をするのを止めない。

 「いえ、ですから他が全部満席で、新たな別の五名のお客様が席に着けないので、お客様さえもし良ければ、空いている席を譲ってくださいませんか・・・・・・?」

 実際、ウ゛ァナの座っている場所では、向かい側のソファー含めて後五人程座れるくらいの余裕があるのだ。


 彼女は紅茶を一口啜すすった後、ウェイトレスの頼みを一笑に付した。

 「バカバカしい・・・・・・我は、最も高貴でそして誰も比肩できない程強いウ゛ァンパイアロードだぞ。

 馬の骨とも分からぬ脆弱な愚物相手に、相席なぞ許さぬわ・・・・・・」


 「え~? 席が埋まっているのでしょうか・・・・・・。

 困りましたね・・・・・・」


 返答したウ゛ァナの声を被さるよう、立ち往生している他の客が、弱々しく呟いた。

 ウ゛ァナは、声の元である通路に視線を向けた。


 なんか輝夜姫みたいな髪型と服装をしているグラマラスな女性が、片頬に手を添えていた。

 

 亜心 賢烏。異名は、『最悪の魔女』

 古今東西どころか神界魔界関係なく全次元全並行世界の魔法魔術を網羅するばかりでは飽き足らず、宇宙中の魔力全てを掌握している至高の魔法使いである。

 武神や魔王ですら片手間で手玉に取ることはお手の物で、まともに戦える相手は、上澄の中の一握りだけだろう。

 ちなみにレベルは、666不可思議42那由多。


 「んなもん別の店で良いだけじゃねーか・・・・・・行くぞザコ助共」

 賢烏の隣にいる柄がらの悪い若者の男が、意見する。

 彼の外見的特徴は、髪型は赤紫のオールバックで、ピンク色のカチューシャを着けていた。


 タイガ ダストシュート。異名は、『チンピラ』

 魔力や霊力など持ち合わせてない彼だが、体に内包されている生命力は、筆舌では表現しにくい程蓄えられている。【水量に例えるなら、全次元全並行世界に存在する魔力の全エネルギーが、雀の涙なら、彼の持つ生命力が惑星L1448-MMから発生する全ての水だろう】

 そして特筆すべきは、非暴力を貫いたまま天使や神々や魑魅魍魎相手などに全戦圧勝したことだ。

 ちなみにレベルは、3↑↑↑7


 「待って下さい。店員さんが仰るには、相席の提案がなされています。

 ここは、吸血鬼の先客さんの厚意を受け入れましょう」


 口髭を生やしているスーツ着の壮年の男性が、タイガに話しかける。

 彼の特徴は、天使の輪みたいに頭上虚空に『ペンローズの三角形【不可能図形の一種】』のオブジェが浮いている。『0⁰=1』が記載されているデザインのネクタイを身に着けていた。

 

 ルートインフィニティ。異名は『だまし絵オタク』

 彼の実力を紹介すれば、『矛盾を発生させる能力』と有している。

 彼の前では、『確定即死攻撃』だろうが『術者以外絶対かかる時間停止』だろうが『完全無欠の不老不死』だろうが『次元切断の一撃』だろうが、何の意味も持たない。下手をすれば全能の存在すら倒すポテンシャルすら有している。

 ちなみにレベルは、√∞。

 どうでもいいことだが、この前彼は、レベル0.00000000000000003の脆弱マンにボコボコにされたことがある。矛盾の能力は、完ぺきではないのだ。

 

 「いや、どう見ても先客嫌がってんだろ。タイガさんの言うとおり別のレストラン探せば・・・・・・?」


 深海魚のデメニギスを擬人化したような女性が、ルートインフィニティにツッコみを入れた。

 彼女の特徴は、髪の毛の代わりにケーブルコードが生えている。人間で言う所の耳部分に魚のヒレが代わりについてあった。半透明な腕から深海のクラゲみたいに多色の光が点滅していた。

 両腕をを露出させているSFチックなスーツを身に着けている。


 くわwせdrftgyふじこlp。異名は『クソ真面目委員長』

 有するのは、『アナログ現象とデジタルデータを入れ替える能力』

 簡単に言えば、銀河中に存在するインターネットを含めたデジタルデータを自分の脳内までダウンロード&インプットしてエネルギーに変換したり、自分が受けた【概念系含む】あらゆるダメージを、デジタルデータに変換して無効化するものである。もちろん動画サイトに投稿されたあらゆる武術や知識を自分のものにすることもできる。端的に言えば、一般人がツイッターでどうでもいいことを呟くだけで、彼女は強くなるのだ。それも限界無く。

 まさしく絵空事を現実に、現実を絵空事に変える能力と言える。

 『今は、まだ非力ですが、何年か経ちましたら、私やタイガさんを超える逸材になるでしょう』と賢烏が評する程。

 ちなみに、レベルは現在5正72澗。※一秒後彼女はレベルが1上がりました。



 「!”#$%&’【】◎▼」


 ふじこの隣にいるトウモロコシの葉を頭から生やした半裸の男が、人間では発声不可能な声で何かしゃべっている。

 彼の右側の肌のみ勾玉やアンクの黒タトゥーが彫られてある。

 腰蓑を身につけている。

 両肩の後ろ部分からは両足が、尻から両腕が一対生えてあった。


 サマサマ。異名は『神々の祈り』

 有するのは、『神々や天使の祈りを叶える能力』

 多神教の神々は、例え主神のゼウスやオーディンであろうと例外なく全能ではなく、何かしら願いや不安が存在している。

 そんな神々の祈り・嫉妬・無力感などの感情のエネルギーが、サマサマを象り創り出したのだ。

 要は、ゼウスやオーディン含めた全ての多神教の神々や天使を鏖殺しない限り、彼を倒すことは実質不可能である。

 どうでもいいが年齢は、産まれたてばかりなので2歳。

 ちなみにレベルは、665不可思議972極八穣。


 「サマサマ? いつものことながら何を言っているのか、わからないわぁあ」


 「え!? 我の肩から女の声が・・・・・・テントウムシ?」


 ウ゛ァナが気づかぬうちに彼女の右肩にいるテントウムシが、喋り出したのだ。


 アマサキス・・・・・・の分裂体の一体。彼女の異名は『虫けらの女王』

 有するのは、『寄生する能力』

 端的に言えば、生物だろうが地脈だろうが霊魂だろうが冷気と闇を除くあらゆるエネルギー【太陽やブラックホール含む】を自分のものにする能力である。

 分裂する際に自身の遺伝子をいじくり、微小なバクテリアから星をも丸呑みにできる怪獣まで自由自在に分裂体の体をデザインすることができる。【人間みたいな脊椎動物はちょっと苦手】

 寄生した宿主を操る事もできる。

 もし『アマサキスは、世界征服できるか』という質問を賢烏にでもしてみたら、彼女は、『とっくの昔に全並行世界を征服されていますよ・・・・・・? 他の皆さまが気付いていないだけで・・・・・・』とでも答えるだろう。

 一体一体は、弱いかもしれないが、分裂体全員がもし一体に集中合体した場合に限り、レベルは572不可思議を超えるだろう。

 余談だが、彼女はこの中でぶっちぎりに長生きしてある。


 テントウムシが、ウ゛ァナに尋ねる。

 「最強で高貴な吸血鬼さん?

 どうかどこの馬の骨とも分からない脆弱で愚物であるあたし達の相席を許可してくれないかしらぁ~?」


 絶望を極めて呆然自失しているウ゛ァナは、無意識に答えた。

 まるで借りてきた猫みたいだ。


 「あ・・・・・・どうぞ」

 

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