旅の神官の来訪という始まりから、異端審問官ジルベールの冷徹で容赦のない行動が物語を一気に緊迫させ、読者を物語の渦へと引き込みます。 彼を中心に描かれる宗教対立や王族の陰謀には一貫した論理と覚悟があり、その生き方そのものが物語の軸として強く機能しています。また、シリアスで陰鬱になりがちな題材にもかかわらず、キャラクター同士の掛け合いは軽快でテンポが良く、物語に心地よい緩急を与えています。世界観を壊すことなくキャラクターの個性を際立たせており、重厚さと楽しさの両方が印象に残る作品です。
重厚な宗教対立と王族の陰謀を背景に冷徹無比の異端審問官ジルベールが奔走する物語です。血腥い戦いや政治劇の緊張感に加え登場人物たちとの掛け合いがユーモラスでシリアスとコミカルの緩急が絶妙。苛烈さと人間味を兼ね備えた主人公像魅力的でクセの強い仲間たちそして裏で蠢く邪悪な宗教の存在が世界観に厚みを与えています。独特のテンポと比喩の妙で読者を飽きさせず次の展開を期待させる快作です。
主人公の異端審問官は正真正銘の神官で回復役(ヒーラー)もこなします。しかし、メイスを鉈(なた)のような使い方をして、「鉈ですよね?」と聞かれても「いや、これはメイスだ。」と言い張る。これは強者か悪役にしか許されない言葉。はたしてこの異端審問官は正義なのか? 主人公で神官という職業だから正しい人なのだろうけれど、悪役感があるところが面白い。