きみと、夏を

りな

第1話 夏を買いに行こう

「夏を買いに行こう」

彼女がいった。

「夏なんてどこに売ってるんだよ?」

「意外とコンビニに売っている」

2人でよく行く近くのコンビニに行く。

「ほら売っている」

「ガリガリくんじゃん」

「君はそっち、私はこっち」

彼女は期間限定のハーゲンダッツを持っている。

「えっ俺が買うの?」

「そうだよ?夏を一口食べたいんだ」

「ただのワガママじゃん」

「そうかなー?小銭で2人のための夏が買えるんだ、安いものじゃないか」

とガリガリくんとハーゲンダッツを買わされる。

「両方俺が買うの?」

「君の信じられない優しさ、嬉しいな」

なんなんだよ、こいつは。

並んでアイスを食べる。腕を伸ばしガリガリ君を一口かじらせる。どうしたら2人の秋も用意できるか考えながら、そっと握るのは財布の方。

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