お題「波にさらわれた手紙」
ざぶーん、ざぶーん。
広大な海よ、母なる海よ。
私の想いを運んでおくれ。
この時代にボトルメールだなんて、時代遅れだとわかっているけれど、もう私はうんざりだ。
電子の海で情報の波に揺られるのに、私は疲れてしまった。
どうせ相手の顔が見えないのなら、ボトルメールの方が幾分ロマンチックではないか。
不思議なものだ。SNSで出会いを求めるのと、行為の本質は変わらないのに。
流す海が違うだけで、さも私が純粋な心の持ち主に思えてくる。
私は純粋無垢な想いなど、ちっとも持ち合わせてはいないのに。ここにいるのは、電子の海に溺れ、恐れを抱き、真に母なる海に逃げて帰った臆病者だ。
夢を見て出てきた都会に打ちのめされ、故郷に帰ってきた田舎者と同じだ。
さあ母なる海よ、疲れた私の心を癒しておくれ。
いい歳になった子供に、お見合い話のひとつでも持ってきておくれ。
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