ペイント
風が心地よく、少し冷たい。ハカノは車椅子に座り、看護師に付き添われて街外れまで散歩に出ていた、が、看護師を置いてこっそりと抜け出して街歩きをしている。
外の景色は、病室の窓越しとはまるで別世界。鳥の声、土の匂い、遠くで子供が笑う声――すべてが体に染み渡る。
そのとき、前方の道の曲がり角で、見慣れた姿が目に入った。
「……え?」
若草色の昆布髪、しなやかで凛々しい佇まい。あの目の輝き。間違いない――サトだ。
そして、その傍らには、三人もいた。
…誰?
ハカノの胸は一気に高鳴った。前世の記憶も、異世界での記憶も入り混じり、目は見えなくても(魔法で見えてる)、心で理解した。
「サ……ト……!」
サトも同時に、驚きと喜びの表情を浮かべた。
「ハカノ! 生きてたんだな! 本当に!」
思わず二人は抱き合いそうになり、周囲の仲間が微笑む。
少し落ち着いた後、サトが真剣な眼差しで訊ねた。
「一緒に旅をしよう。俺たちの目的、まだ終わってない――君も力を貸してくれ!」
ハカノは車椅子で身動きもままならない自分を見下ろし、声を出す。
「いや……私、怪我人で車椅子なしじゃ移動すら出来ないんだけど」
「それとまだって言われても元のを知らないし」
その一言でサト達は一瞬戸惑ったが、すぐに仲間?の一人が笑顔で言った。
「ふふん、心配しないで。エリクサー取ってきてあげるから、すぐに歩けるようになるわよ」
「依頼でダンジョンに潜るから、ついでに取ってきてあげるわ」
ハカノは思わず息をのむ。目は見えなくても、その言葉だけで未来が一瞬で広がった気がした。
「!そうしたらハカノも歩けるようになるな!」
なんか向こうは勝手に決定事項の様に話しているが、多分無意味な時間になるだろう。
サト達と別れ、街歩き(車椅子で)を再開すると看護師さんに見つかった。
…その後、当然だが看護師さんに怒られたとさ。
◇◇◇◇◇◇
■ 掲示板回:アニメ『遥か 嫌う 世界』総合スレ
01:名無しのウェドキアル
今日の2期最新話見た?まさか病院で車椅子のあの子が……サト達と遭遇するとは!
07:名無しのダガナ
EDの背景と同じ場所じゃん!
エェ?ほぼゴミ捨て場じゃ…
12:名無しのダガナ
いや、まあまずは再開を喜んで…エェ?ゴミ捨て場?
18:名無しのダガナ
サト達の行動が熱い。車椅子の子にエリクサー渡すとか無慈悲すぎw。
休ませたれよ。
22:名無しのダガナ
ハカノって言うんだ。
本人、まだ目見えてない(だろう)し体動かない(らしい)のに、サト達と一緒に旅に出せるのかな?
31:名無しさん
公式「これが全ての予定通りです(画像略)」
36:名無しのダガナ
《22
だからこその無慈悲エリクサーさっ!
…エリクサーってどんな効果があるんだろ。
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