高校生龍頭琥珀は除霊ができない ~魔の十三階段の謎~

神山紘

プロローグ

魔の十三階段

 この世には幽霊、妖怪、都市伝説などいくつもの怖いお話というものがございます。四谷怪談のお岩さんや尻子玉を狙って相撲を取る河童、私キレイ? と尋ねてくる口裂け女、日本だけでも数えきれないほどのお話があります。


 さて、今回はその中の一つのお話です。


 皆様は学校の七不思議というものを知っていますでしょうか?


 トイレの花子さんや動く人体模型、誰もいないのになるピアノの音などなど、学校ごとにある怖いお話のことです。


 皆さんの学校にもありましたでしょうか?


 まあ近頃はそういうお話がされることも少なくなり、聞いたことがないという方も少なくはなくなってしまったかもしれませんね。


 ただ私の通う高校には学校の七不思議があります。


 そしてそんなものがあるのならばオカルト研究部である私たちが調査しようとしないわけがありません。


 これは立ち上げたばかりの私たちオカルト研究部が最初に遭遇した不可思議なお話です。


 その日私たち五人は学校の七不思議を調査するため、夜の学校を散策していました。


 ああもちろん学校には許可をもらっていますよ? 勝手に侵入したら警報機が作動してしまいますからね。


 時刻は屋の棟も三寸下がる丑三つ時。


 七不思議のうち六を終え、最後の七不思議、魔の十三階段。


 屋上へとつながる階段の段数が十二段のはずが十三段になっているというとてもシンプルなお話です。


 そのときは私ともう二人、合わせて三人で階段を上り始めました。


 一段、


 二段、


 三段、


 四段と数え、


 五、


 六、


 七、


 八、


 九、


 十、


 十一段……本当なら次で終わり、ただ見間違えでなければあと、二段……確かに、あと二段……確認のため下に残った二人を見ようとしましたが、なぜか頭が上がらない。なぜか後ろを見ることができない。俺もほかの二人も呼吸がだんだんと早くなり、心臓の鼓動がどんどん大きくなり、そして……


 十二段目……あと、一段……あのときの感覚は忘れられません。見れない先に何かあるようで、頭が上がらないのではなく、上げてはいけないと体が拒否しているかのようで、足が震え、呼吸もさらに早くなり、心臓の鼓動は痛いほどに大きくなって、それを抑えるためか私たちは同時に震えた手を抑えるために手をつなぎ……


 十三段目! 


 恐怖感からか達成感からか三人で思わず大きな声が出てしまったことに顔を合わせ笑いながら、こわばっていた体も動きなんだ勘違いだったのかと顔を上げた瞬間、


 なにかと目が合いました。


 そして……


 気が付いた時には病院のベッドの上でした。


 私が目を覚ましたのはあれから一週間ほどたってのこと。


 あのとき何が起きたのか、なにと目が合ったのか、今でもわかりません。

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