呪い

木漏れ日を知らない魚よ

磯の香りを知らない兎よ

天の高さを知らない貴方は

果たして何を知るのでしょうか


貴方の世界を知らない私と

私の世界を知らない貴方と

果たして何が違うのでしょうか


光の届かぬ海の底で

声の届かぬ殻の奥で

何かが私を締め付けています


この言の葉を茂らせてしまう

その木の麓を腐らせたのは

どちらが散らした枯れた葉でしょう


朽ちた貴方を眺めています

朽ちた貴方がそうするように


大した違いもないのでしょう

意味も価値もないのでしょう


貴方に価値を見出さぬことは

貴方にとっては果てなき呪いで

私にとっては唯一の愛です

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