第12話 魂なき者の覚醒

マティアスはその後、ライゼル復活させ、自分の魂を他の器に移す、禁忌の魔術の研究を行った。

何人もの人間を殺し、犠牲にした。

マティアスの悲願は何百年を要するものだった。


もはや人の姿とは呼べぬほど、白濁した眼と崩れた体を、魔術で縫い止めて生きながらえていた  


そんなボロボロになりながらも、生き続けていたのは、ひとえにライゼルへの想いだった。


もう一度会いたい、今度は自分に自信を持って、胸を張ってライゼルに会えるように


「あの日、届かなかった想いを、今度こそ正しく伝えたかった──」


フィリアはマティアスの一筋の光にすがりつくような執念を感じた。


フィリアの意識はマティアスの記憶から自身の肉体へと戻っていた。


マティアス「これで、記憶の定着は完了した…… これで儀式が、行える……」


マティアスが祭壇の中央に立つ


マティアス「■■■▲▲▲▲…。 〇●〇●●●……」


マティアスは声にならない呪詛を唱えた。

その声は震え、喉の奥から血のような何かが滲んだ。魔法陣が唸るように共鳴し、空気が歪む。


周囲に黒い光が充満したその直後だった。


フィリアは真っ白な空間を漂っていた。


そこは安らぎを感じるような懐かしいような場所だった。


フィリアの目の前に青く美しい光を放つ巨大球体が現れた。

その球体からは無数の手や顔、動物の顔などが生えていた。


フィリアがその球体を触れた瞬間だった。


フィリアは激痛と共に様々な記憶が流れ込んできた。


赤子の産声、誰かの断末魔、恋人のささやき、飢えに苦しむ獣の咆哮――

それらが一気にフィリアの中に流れ込み、神経を焼き尽くすように脳内を駆け抜けた。


フィリア「あっ………… あっ…………」


フィリアは息を吹き返すように、意識が跳ね起きた。


フィリアの体は動けるようになっていた。


その瞬間マティアスは目を剥いて驚いた。


マティアス「なぜだ……!貴様のようなホムンクルスに……魂など、あるはずがないッ……!!」


マティアスは動揺して叫んだ。


その瞬間、爆発音のような音が響いた。


儀式の魔法陣が破壊された。


??「魔術治安局の者だ!!投降しろ!!! 」


空間が裂けるような音とともに、漆黒の制服に銀章を付けた男たちが転移してきた。

魔法障壁をまとい、杖を構えたその姿は、まるで死の執行者のようだった。

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