第21話:下?の戦い、そして連合軍の結成
徐州での曹操軍との激戦は、劉備と呂布の固い絆をさらに深めた。曹操は一時撤退を余儀なくされたものの、その目は依然として徐州を狙っていた。そして、その矛先は、徐州の中心地、下?(かひ)へと向けられた。
下?は、四方を水に囲まれた天然の要害だったが、曹操は周到な準備を進め、大軍をもって攻め寄せた。徐州の城内は、緊張感に包まれていた。民衆は不安に怯え、兵士たちの間には疲弊の色が見え始めていた。
「このままでは、厳しい戦いになります…」
劉備の側近、簡雍(かんよう)が苦渋の表情で告げた。徐州軍の兵力は、曹操軍に遠く及ばない。籠城策も限界があった。
そんな状況の中、城内で不穏な動きが起こり始めた。かつて董卓の配下であった将軍たち、高順(こうじゅん)や張遼(ちょうりょう)らは、呂布への忠誠を誓っていたが、他の将軍の中には、この絶望的な戦況に不満を抱き、曹操への内通を考える者も現れ始めたのだ。
「こんな戦、勝てるわけがない」「どうせなら、曹操殿に降った方がましだ」
兵士たちの間で、そんな囁きが広まっていく。呂布は、その声を聞くたびに、胸の奥が締め付けられる思いだった。またしても、裏切りが繰り返されるのか。董卓の時と同じように、自分の力は、信頼を失ってしまうのか。幼い呂布の瞳には、深い葛藤が浮かんでいた。
しかし、その時、劉備が静かに立ち上がった。
「皆の者! 確かに我らの力は小さい。だが、我らには守るべきものがある! ここにいる民の笑顔が、我らの『正義』だ!」
劉備の声は、城内に響き渡り、兵士たちの心に訴えかけた。彼の言葉には、武力で支配するのではなく、民を愛する真摯な思いが宿っていた。
呂布もまた、劉備の隣に並び立った。
「私…私も、劉備様と共に、この徐州を守り抜きます! みんなの笑顔のために、最後まで戦います!」
呂布の幼いながらも力強い言葉に、兵士たちの間に微かな動揺が走った。彼女の純粋な決意は、裏切りを画策していた将軍たちの心にも、一瞬の躊躇を生み出した。
曹操軍の総攻撃が始まった。城壁は激しく揺れ、城内には悲鳴が響き渡る。呂布は方天画戟を振るい、獅子奮迅の活躍を見せた。劉備、関羽、張飛もまた、身を挺して城を守る。彼らの奮戦は、兵士たちを鼓舞し、一時的に士気を高めた。
しかし、兵力の差は歴然。城は刻一刻と陥落の危機に瀕していく。呂布の体力も限界に近づき、彼女の持つ「希望の星」の瓶は、まるで光を失ったかのように輝きを失いかけていた。
その時だった。
遠くの空に、無数の旗印が見えた。それは、曹操軍とは異なる、新たな勢力の旗印だった。
「援軍にございます! 孫策(そんさく)殿、そして遠く冀州(きしゅう)より、袁紹とは異なる平和を志す勢力が、我らの救援に駆けつけてくれました!」
伝令兵の叫び声が、城内に響き渡った。兵士たちの顔に、驚きと、そして希望の光が宿る。
呂布を長安から救い出した李粛の働きかけが、実を結んだのだ。彼は呂布の「正義」を信じ、劉備と呂布が結んだ同盟の真意を、他の諸侯に伝えていた。そして、争いを望まない勢力が、この徐州の戦いを見て、劉備と呂布の「平和への願い」に共感し、ついに援軍を送ることを決意したのだった。
孫策率いる呉の精鋭と、もう一つの平和を望む勢力が、曹操軍の背後を突いた。予期せぬ援軍の出現に、曹操軍は混乱に陥る。
「馬鹿な…! なぜ、この期に及んで援軍が…!」
曹操は、顔を歪ませた。彼の想定には、呂布と劉備が他の勢力と協力するという選択肢はなかったのだ。
下?の戦いは、呂布、劉備、そして新たな協力者たちの連合軍によって、新たな局面を迎えた。彼らは、武力による統一ではなく、互いに手を取り合うことで、乱世を終わらせる「平和への道」を、力強く歩み始めたのだった。呂布の「希望の星」の瓶は、再び強い光を放ち、その輝きは、確かな「団結の証」として、夜空を照らしていた。
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