第29話:厄介すぎる虚構

『困惑』としか、この状況は表せない。

無から3人の人が現れたかと思えば、一人が周囲に触手をまき散らし始め、何かをつかんだと思えば自身へと戻し


いつのまにか上下が反転し落下している。

俺らと勇者は天に向けて落下を開始していた。


これを打開するにも、【天秤】や【法】や【秩】は俺の中では苦手な部類だ。

【天秤】で相殺できる対象もあまりない。だから、俺はどうしようもない。


「うおっ!?こりゃぁどうなってんだ⁉」とオーガトスが驚いて叫ぶ


「これは、我が見た中でも初めてのものだな!」と中二病をこじらせてるであろうレミが言う。


転移シュルク】も面倒くさいし、転移したところでまた空へと落下するだけだ。

紅星の奇跡レッドスピネル:起源回帰リアリティ】とレミが唱えた瞬間に、視界がゆがみ落下していく空に赤の亀裂が入り、その中に突入する。


亀裂の中に入ったかと思えば、元のなじみある地面に降り立っていた。


「はぁ、奴等、これすらも凌駕しやがって」と言いながら一人の小柄な男が前に出てくる。


「やぁ、愚者の諸君、私の遊戯に付き合ってくれ。名乗っておこう私の名は【マジシャン:ブルースター】とでも呼んでくれ」


虚構真実ライリアル:鏡の国ー万華鏡】とそいつが言うと、魔法陣が展開され、それが消える。


その数秒後に皆が警戒していた時に、俺の景色には6つの同じ映像が見える。正確には俺の視界が万華鏡になった。


正常化ノーマル】と俺は自分に魔法をかけてこの万華鏡状態の視界を治し、【強化パワード】で相手の目の前まで地面をけって移動し、相手の顔面を殴る。


虚構真実ライリアル:そこに人はいなかった】と小柄な人が言うと、そいつの輪郭はゆがみ拳は空を切る。


壊武エドランス・スペア】と黒フードをかぶる別の人が目の前に現れそういうと、黒い腕を突き付けてくる。


それは一瞬にして俺の右わき腹に到達すると、右わき腹を貫通し、鮮血が舞う。


それは、想像を絶するほどの痛みだ。

今思えば、白銀の守護者と戦った時は何でいたくなかったんだろ?


ぽたぽた……と音を立てて血は滴る。

牙竜突がりゅうとつ】とオーガトスが槍を黒フードに向けて突くが、、槍は全くの別方向に放たれる。


あ、やべと思いながら【正常化ノーマル】をほかの4名にも掛ける。


掛けたとたんに「む、視界が元に戻った」とオーガトスがいう。


「紅蓮なる爆炎よ、束縛されし紅魔よ、」とレミが赤い巨大な魔法陣を地面に描き、詠唱を始める。


多分、詠唱の長さからして絶対に当たらない。

陽動作戦か、、、、、それかレミが馬鹿なのか。


まぁ、どっちかは知らないけど、まぁ、前者だろ


というか、傷口がずっと痛いんだが。

え?なんであの書庫で戦った時には痛覚消えてたの?


回復魔法は、、、、、使えねーわ


平法:手足損傷之共有ラビエンス・フラット】で俺は一応黒フードの身体状態と同じにして脇腹の傷をふさぐ。


ただ、最前線にいるのに時間をかけすぎたようで、目の前にはいつのまにか作られていた黒い鎌が首元に迫っていた。


「あ、俺死んだわ」と言った時に、【ゼルシオ・アトラス】が光り輝く剣で鎌を受け止める。


「ッチ、、、、できない」と小柄な人が言う。

というか、虚構ってあのギルドで出会ったやつだっけ?と俺は思うのだった。

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