第6話・ほっこり月見うどん

「どう? 少しは体調良くなった?」


「にゃはは。その声の感じだと、もうちょっと寝てた方が良いかもね」


「前はアタシが看病して貰ったから、今回はアタシに任せて」


「何か欲しいものはある?」


//SE お腹の鳴る音


「お腹が減ったみたいだね」


「固形物は食べられそう?」


「そっか。じゃあ急いで作ってくるから待ってて」


//SE 立ち上がり床が軋む音

//SE 扉の開閉音


「さて、と」


「あの様子だと、お粥よりもう少し食べ応えのあるものがいいかな」


//SE 廊下を歩く音

//SE 扉の開閉音


「雑炊は――芸がないね。他に食べやすくて栄養があるものとなると」


「やっぱりうどんかな」


//SE 冷蔵庫の開閉音

//SE 鍋に水を注ぐ音


「まずは作り置きのお出汁を温めてー」


「その間にネギを切っておく」


//SE 包丁のトントン音


「それから生姜も皮付きで細切りに」


「えのきは水で洗わずにそのままで」


「お肉はあっさりと鶏むね肉を細切れに」

※徐々にテンション上げて


//SE 出汁が沸騰する音


「みりんとお醤油。それからほんのちょっとの顆粒出汁で整えてっと」


「それからお肉を入れましてー。アクはしっかり取りましょう」 ※歌をうたうように楽しげに


「スッキリおつゆにえのきとしょうがっ」


「煮えたらうどんもちょいちょいちょい」


「2分数えてっでようね」


//SE 卵を割る音


「そしたらネギと卵をちゃーくすい」


「ふたをしてー」


//SE 鍋に蓋をする音


「ちょっと待ったら」


「でっきあがりー」


//SE 鍋の中身をどんぶりに注ぐ音


「あ、アタシの分作り忘れた」 ※思いついたように


「にゃははは。まあいっか」


//SE お盆にどんぶりと箸を乗せる音


「これで元気になってくれると良いな……」

※しみじみと


//SE 足音

//SE 扉の開閉音


「おうどん作ってきたよー」


「ううん、気にしないで」


「食べられそう? もしきつかったら残してもいいからね」 ※優しげに


「食べさせてって。もうー」

※呆れながらもまんざらじゃない顔で


「今日だけだからね」


//SE 膝を折る音

//SE お盆から箸を取る音


「ふぅ、ふぅ」


「どうぞ」


//SE 麺をすする音


「気持ち悪くない?」


「それは良かった」


「それじゃあ残りは自分で食べてね」


「だーめ。体調悪いんだからなおさら自分のペースで食べなきゃ」


「ま、もしもまた食べさせて欲しいんだったらさ」


「早く風邪を治したらしてあげる」

※やんわりと


//SE 勢いよく麺を啜る音


「ちょちょちょ、慌てて食べるとむせるよ!」


//SE 盛大に胸を叩く音


「ほら言わんこっちゃない」


「お水飲んでお水!」


//SE 激しく喉を鳴らす音


「もう。ただでさえ体調悪いのに」


「そんなにアタシに甘えさせて欲しかったの?」


「仕方のないひと……」 ※しっとりと


「今日だけだからね」


「ほら、お箸貸して」


「ふぅ、ふぅ、ふぅー」


「どうぞ」


//SE 麺を啜る音


「よく噛んで。さっきみたいに慌てちゃ駄目だよ」


「うんうんその調子」


「ごっくんした? それつーぎ」


「今度はえのき」


「お出汁含んで熱いから気を付けて」


「ふー、ふー」


「はい」


//SE 咀嚼そしゃく


「美味しい? 次はネギいくよ」


「うどんの中のネギって、どうしてこんなにもありがたいんだろうね」


「味の面もそうだけど、しゃくしゃくっとした食感がアクセントになって、うどんと相性良いよねー」


「おっとっとっと。ごめんなさい、講釈は不要だった」


「どうぞ」


//SE 咀嚼音


「ちゃんと食べれてえらいえらい」


「なんか赤ちゃんみたいで可愛いかも」

※しみじみと


「ごめんごめん。そんな場合じゃなかった」


「もう食べるまで黙ってます」


//SE うどんを啜る音

//SE 咀嚼音


「最後まで食べられたね」


「はい、お粗末様です」


「他に欲しいものがあったら言ってね。買ってくるから」


「アタシは売り物じゃありません」

※きっぱりと


「これは相当弱ってるね」


「いっぱい寝て、風邪なんて吹き飛ばしちゃおう」


「うん、よろしい」


「おやすみなさい」

※母親のような優しさで


―――――――――――――――

次回はケーキ回です!

お祝いごとにケーキは欠かせません!

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