第2話・夏野菜カレー
//SE エアコンから風が吹く音
「にゃはは、今日も外は地獄だねー」
「夏が始まったばっかりだというのにこの暑さ。日本はこれからどうなってしまうんでしょう」
「まあでも、そのおかげで冷房の効いた部屋でキミとくっついていられるもんね」
「そういう意味では、地球に感謝かな」 ※しみじみと
「だってお外が心地良かったら、何処かにお出かけしちゃうでしょ?」
「それはそれで楽しいけど、こうやってお家でゴロゴロしてるのもいいなぁ、って」
「ち、ちがっ!? 別にえっちなことなんて考えてないからねっ!」
「変なことばかり言ってると、お昼抜きだよ!」
※子供を叱る感じで
「ふふふっ、冗談冗談」
//SE お腹の鳴る音
「おやおや。お昼の話をしたらお腹の虫が騒ぎ始めましたか」
「うんうん、ご飯の時間だね」
//SE フローリングの床が擦れる音
「あら? 手伝ってくれるの?」
「でも今日は必要ないんだ。あっためるだけだから」
//SE 冷蔵庫の開閉音
//SE コンロに火を点ける音
「一晩おくと固まっちゃうから最初が面倒なんだよねー」
「あ、そうだ!」
「手伝ってくれるなら、今のうちに野菜切っておいてくれるかな? 野菜室にトマトとレタスが入ってるの」
「あとついでに福神漬けも出しておいてー」
「あとはお皿も――」
「って、ごめんなさいごめんなさい。別に雑用だなんて思ってないよ。職業病が出ました」
「それにさ」
「お休みの日はずっと一緒に居られるから嬉しくて」
「にゃはは。カレーの匂いがする中で言う台詞じゃなかったかな」
※やや照れた風に
//SE カレーがぐつぐつ煮立つ音(しばらく続く)
「…………」
「もう、突然なんだから」
「けどキミの積極的なところも好きだよ……」
//SE コンロの火を止める音
「先にご飯にしよっ。お腹が減ってはなんとやらだよ」
「そんなおやつを取り上げられたワンちゃんみたいな顔しないの」
「デザートは、後でね」 ※ささやくような口調で
//SE ご飯にカレーが掛かる音
//SE お盆に皿が乗る音
「出来上がりー」
「手伝ってくれて、ありがとう」 ※子供のような言い方で
「そんなに子ども扱いしてるかなー?」
//SE 足音が二つ
「子ども扱いは、嫌い?」
「んふふっ。正直者でよろしい」
//SE お盆が机の上に乗る音
//SE 椅子が床を擦る音
「さ。食べよ食べよ」
//SE 手を合わせる音
「いただきます」
//SE スプーンが皿を叩く音
//SE 咀嚼音
「んー!? 一晩おいたカレーは無敵だね!」 ※幸せいっぱいに
「あー、それはね。一晩おいたことで具材に味がしみ込んで馴染んだり、逆に具材の方からルーにうま味成分が出るからみたいだよ」
「そうそう。だからアタシもちょっと多めに作ってるんだ。多く作った方がより美味しくなるからね」
「んー、人参やじゃがいもみたいなオーソドックスな具材も捨てがたいけど、この時期はオクラや茄子が堪んないよね」
「何でこんなにカレーと合うのかなー」
「オクラの粘り気はカレーのアクセントにばっちりだし」
「素揚げした茄子はルーとの相性が最高っ!」
「この時期のカレーは身も心も蕩けそうになるねー」
//SE レタスの咀嚼音
「あ。折角ならサラダも凝ったものにすればよかったかな?」
「あらら。サラダに対する思い入れは無かったかー」 ※残念そうに
「ベーシックな生野菜サラダはもちろん。海藻サラダやシーザーサラダも美味しいのになー」
「じゃあカレーは何が好き?」
//SE スプーンが皿を叩く音
「アタシ? アタシは甘口ならあまりこだわりはないよ?」
「えー、いいじゃん甘口ー。食べやすいよ? 子供にも大人気」
「むぅ。アタシの方が年上なのに」
※口を尖らせ不機嫌そうに
「いいもん、いいもん。別にアタシは子供だもーん」
「…………」
「ちらっ」
「もうっ! ちょっとは気にしてよー!!」 ※膨れながら
「せっかく美味しいもの作ったのに」
「今更謝っても遅いもん」 ※拗ねた口調で
「じゃあさ――」 ※いじらしい風に
「食べ終わった後もかまってね」
「…………」
「……ふふっ、赤くなっちゃって」 ※小声で
「かわいい」 ※そっと漏らす風に
//SE スプーンが皿を叩く音
//SE 咀嚼音
//SE スプーンが皿を置かれる音
「ごちそうさまでした」
「もう。鼻息荒げ過ぎだよ」
「そういうのはお片付けが終わってからね」
「早く終わるようキミも手伝って」
「アタシの熱が冷めないうちにね」
※小声ながらもはっきりと
―――――――――――――――
次回はお粥回です!
体調が悪い時は消化に良いものが一番!
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