第四十神話 神の国から空想へ
「んんっ…」
目が覚めると、私は招待客席で座っていた。
「おっ?起きたか?」
私が起きたのに気付き、バルザックが声をかける。
「おつかれ!今、決闘大会が終わったところだぞ!」
バルザックがそう言い、舞台を見た。
フレイとシルフィムが、舞台の真ん中で高らかと魔法を打ち上げている。
「ん…あれ?ファラくんは…?」
私は、周りを見てもファラくんが居ないことに気付き、バルザックに聞いた。
「え?あー、アイツは…」
「ふむ、起きたか」
バルザックが話しかけた時、アルディールが声をかけてきた。
「うん、それで、ファラくんは?」
「ふむ、彼奴は従者達と共に自身の国に帰った」
「そう…」
私は俯き、少しだけ愚痴を吐く。
「……私も連れて行って欲しかったなぁ」
「それは、無理だろうな」
「なんで?」
「随分と急いでいたぞ、彼奴は」
「えっ…?」
「理由は知らんが、フレイに何かを言って、すぐに帰ってしまった」
アルディールが舞台にいるフレイに目を向ける。
「…後で、何を話していたのか聞くといい、おそらく君に対する伝言か何かだろう」
アルディールは、近くにあったティートローリーに置いてある、紅茶を飲む。
「……」
私は考えていた。
ファラくんが私に伝言?なんだろう。
そう考えていると、舞台にいたフレイがいつの間にか、目の前にいた。
「どうしたの?ミュウ?」
「あっ、フレイさん…」
「さんは付けなくていいわよ、フレイでいいわ」
「あっ、うん、じゃあ、フレイ?ファラくんから伝言って…」
「え?あぁ…ミュウに言ってたのは…」
フレイは、コホンと咳き込み、話を続けた。
「「気が乗ったら僕の国に来なさい、いつでも歓迎するよ!あとは、危険な事に首を突っ込まないこと、危ないと思ったら直ぐに逃げるか、僕を呼ぶこと、いいね?」」
「……って、言ってたわよ」
フレイは、ファラくんの声を真似て、話していた。
「ブッ…しっ、ししょー、クッフフフ…」
バルザックが後ろで笑いを堪えている。
「……あんた後で覚えときなさいよ」
「おっと、今のうちに逃げとくか」
バルザックは、招待客席を逃げるように飛び出た。
「はぁ…とりあえず、お疲れ様でした」
「うん、お疲れ様」
「あっ、ミュウ?」
「…?」
不意にフレイに呼ばれて、私は疑問に思う。
「……いえ、改めて、お疲れ様でした、また会うことがあれば、その時はお茶会でもしましょう」
「うん、わかった」
私はそう言い、招待客席を出て、観客席に向かった。
〜観客席〜
私は少し歩くと、観客が帰っていき、ガラガラになった観客席に着いた。
「うーん、どうしよっか…誘うべきか…」
「そうだね、どうしよっか」
「誘ってもいいんじゃない?」
「いや、俺らの事案に巻き込む訳にも…」
人が少ない席で、ウェスタとカムイ、カイジス、ネクロンが頭を悩ませていた。
「ウェスタさん?」
「ん?あっ!ミュウちゃん!」
ウェスタが明るい笑顔で、私の方を向いた。
「どうしたの?」
「えっ?えーっとねぇ…」
ウェスタが両指をツンツンとして、口がゴモゴモしていた。
急に、ウェスタが三人の方に向いて、話をしている。
「ねっ…ねぇ、どうしたらいい?」
「いやいや俺らに聞かれても」
「言ってみたらいいんじゃない?」
「うん、言ってみていいかも」
話が終わったのか、ウェスタが私の方を向いて、汗を流しながら話した。
「あのっ!ミュウちゃん?!ちょっといいかな?!」
「なんでそんなに緊張してるの」
「いっ…いやぁ…ちょっと…ね?」
「……」
「……」
二人の間で静寂が少し流れる。
「…はぁ、実は一緒に来て欲しいんだ」
「?どうして?」
「ん…ファラく…ごめんね、メルヴァさんに…」
「「色んなところを見せてやって欲しい」」
「って言われてね」
「わかった、行く」
「即決?!」
ウェスタが私の即答に驚いて変な声を出した。
「ファラくんがそう言ったのとは関係なくて、私もこの世界を色々見て回りたいって思ってた」
「ミュウちゃん…なんて良い子…」
ウェスタは涙を少し流しながら、私に抱きついた。
「出たよ、ウェスタちゃんの謎母性」
「いつもの事だね」
カムイとカイジスが、呆れた声で呟いていた。
「それじゃ、ミュウちゃんに聞けたし…行こっか!」
「…?アルトリス達は?」
「あっ、アルトリスちゃんはお仲間の人達と…」
「「私達は一度、リヴァルセリムに戻って、聖王国に出発します、またお会いしましょう」」
「って言ってたよ」
「あー…わかった、行こっか」
「いぇーい!それじゃ!しゅっぱーつ!」
ウェスタは、上機嫌に、観客席を歩き、闘技場を出る。
「ちゃんと歩かないと転ぶよ?」
「転ばないよだ!」
ウェスタがカムイの言ったことを聞かなかった。
「あだっ!」
その結果、街のタイルの分け目に足が引っかかり、転けてしまった。
「だから言ったってのに」
カムイ達は呆れて笑っていた。
「むぅ…いたた」
「…ふふっ」
私も、不意に笑っていた。
「ミュウちゃんが笑ったァ!」
鼻血を出しながら、ウェスタが私を見る。
「えっ?」
「ずっと暗い顔してたからさ!笑って良かったよ!」
私の手を握って、縦に振る。
「う…うん」
「そんな急に言われたら困るでしょうがウェスタちゃん」
ネクロンが、ウェスタの腕を離し、背中を押してヴァスラの門を出た。
「歩いて行くの?」
「えっ?いやいや!流石にないない!」
ウェスタがそう言い、服の中から、青白い鍵を手に持つ。
「それは?」
「これ?空の鍵、今から行くところの、私が住んでた国の入口だよ」
「えっ?」
ウェスタが、鍵を空中に刺し、時計のように回す。
すると、空間が捻れ、人一人が立って入れるほどの穴が生まれた。
「それじゃ、行こっか」
ウェスタがそう言い、穴の中に入る。
「僕達も行くよ」
カムイやカイジス、ネクロンが次に穴の中に入っていく。
私も、それに続いて、穴の中に入る。
穴の中は…はっきり言って暗い、それでいて微かに見える林のようなものが薄気味悪い。
「んん、暗い」
そんな景色が数十秒続き、視界が白くなっていく。
「眩しっ……」
眩しさに、私は目を覆う。
そして、すぐに、視界が元に戻っていることに気付き、目を覆う手を下ろし、目の前の景色に、私は驚き、唖然とした。
私が立っていたのは崖の少し後ろ、そこから見下ろす景色が、美しかった。
和風な建物、そして見下ろすではなく、見上げるほど高い和風の城。
そして、その城を回るように飛ぶ、白い龍
ここは、人々の空想が集まり、他異世界の住人が渡って来た空想の国。
ウェスタがその景色に手を伸ばし、私に告げる。
「ようこそ!私達の国!空想国リアディムへ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます