おとぎタイムスリップ!~未来未来、あるところに~
蜜蜂ミツ
第零話
二一XX年七月七日。実業家、セーロン・スガオ。その莫大な資産でSHABETTERを買収し、Zに改名させた男である。一代で様々な事業を成功に導き、政財界に莫大な影響力を持つ。その彼が、近日中に重大発表を行うために、会場などの準備をしていることをジャーナリストのカーターはつかむ。それが世界中を震撼させる大ニュースになるのにはそう日を要しなかった。
翌年一月一日、とある大きな会場で、参加自由の重大発表会が開催される。世界中から一千万人以上の来客、インターネットでの同時接続視聴は十億を突破。世界中の人々が今か今かと固唾を呑んでステージを見る。ステージ中央にスガオが現れるとスポットライトが彼に当たる。その瞬間、カメラのフラッシュが煌々とたかれ、参加者たちは一斉に立ち上がり、会場全体に張り裂けんばかりの拍手が響き渡る。スガオがマイクを持ち、右手を挙げると、フラッシュと拍手は止み、参加者たちは再び着席、間もなくスガオは口を開いた。
「あけましておめでとうございます。皆さん。本日は本会場にこんなに大勢の方々にお集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は人類にとって大きな一歩となる発表を行えることを大変嬉しく思います。私は、この数年間、ある科学者のもとを度々訪れておりました。それは皆さんがニュースなどでご存じでしょうから、これから発表する内容も大方予想されていることと思いますが、ここまで注目されることは信じられないことではありません! なぜなら、あなた方に注目されることを私たちは信じていたからです! それでは、ここでこの方にご登壇いただきましょう。タイムマシン開発者、プロフェッサー・トキ!!」
紫のロン毛が現れる。トキ・N・テンパス博士。それがタイムマシンを開発した者の名だ。彼は三十歳でタイムマシンを実用化までこぎつけた。三メートル台のロボットを連れ、ステージに上がる。そのロボットは彼の助手であるイッスン・L・カッパスが乗っている。会場には溢れんばかりの歓声と拍手が広がる。彼は助手に合図を送り、助手はステージ中央に布で覆われた何かを床下から出現させる。それがタイムマシンであることはもう明白だ。彼は緊張した面持ちでマイクをスガオから受け取った。
「只今スガオ様よりご紹介に与りましたタイムマシン開発者のトキです。こちらは助手のイッスンです。本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます。それでは早速、タイムマシンをご覧いただきましょう」
トキ博士がパチンと指を鳴らすと、イッスンは布をめくる。そこには球体の無機質な物体が現れる。会場にどよめきが広がる。
「ご安心ください。これはあくまでもプロトタイプ。実際に販売する場合にはオーダーメイドとなっております。助手の乗っているものもタイムマシンですが、普段使いのロボを改良しております」
会場に安堵の拍手が響く。
「さて、本題に入ります。この研究は、父の代から続けており、スガオ氏がパトロンを引き受けてくださったおかげで、実を結びました。しかしながら、現在、量産化に踏み出せる状況にはありません。そこで、乗るメンバーを募集いたします。ご応募いただいた中から、何名かをこちらで選出することになります。どしどしご応募くださいませ。以上です」
その後、その場に集まった参加者や記者たちの質問に博士たちが答えて、発表会は終了。一人の少女がトキ博士に駆け寄ってきて、質問をした。
「わたしもタイムマシンに乗りたいです。おうぼしたら乗れますか?」
トキ博士は、優しい笑顔で目線を少女に合わせて語りかける。
「君はスガオ氏の孫娘さんだね。ああ、乗れるとも。いつか選ばれたときに、ドローンで案内状を送るから、そこに書かれた研究所へおいで」
数日後、乗るメンバーが決まり、研究所に集められた。
この物語は、主に三名のメンバーを中心にして、彼らと彼らの仲間たちが紡いでいく。
おとぎタイムスリップ!~未来未来、あるところに~ 蜜蜂ミツ @HA-FU
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