第23話

三体の巨人を睨み付けるように見上げるミザァをアカネ達は一瞬ビビっていたがまたすぐにいつもの調子に戻り、ミザァを踏み潰そうとした。

「このチビがぁ!てめぇらチビ人間に何が出来るんだッ!?調子に乗ってんじゃねぇぞッ!」

アカネがそう怒鳴ってミザァを踏み潰そうとするが、ミザァはアカネの巨大な足裏を何かで受け止めたのだ。

「なッ!?」

「おいで...レダシ」

「グゥゥゥウオォォォオ....!」

ミザァが呟くと同時に地面から生えてきた包帯グルグル巻きの腕が出てきたのだ。その腕はググッとアカネの足を押し上げた後、ゆっくりと地面から腕から肩、顔、上半身と出て、最後に全身が見えた。出てきたのは全身包帯巻きでまるでミイラだった。頭からは包帯の隙間から黒い髪が飛び出していて、目らしき部分からは爛々と光る物が見えた。更にそのミイラの全長は6mも大きかった。だが、アカネ達から見れば腰より低く見えた。

「な、なんだよ。どんな奴が出るかと思ったらちょっとデカイミイラじゃないか。そんなでウチらをやり合おうってのか!」

アカネは叫んで剣を構えてレダシに斬りかかった。

ネム達はミザァが出したミイラ巨人がアカネの攻撃に耐えられるのか不安だった。しかし、その不安は一瞬で吹き飛んだ。何故なら、レダシがアカネの剣を受け止めたからだ。そしてそのまま押し返すと、アカネの剣がミシミシと音を立て始めた。

「な、なんで……ッ!ウチが押し返される!?ぐぅぅぅッ!?」

「ドッカヘ...トンデイケ.....!」

アカネは剣を押し返されて隙だらけになった所をレダシの拳を受けて数メートル吹き飛んだ。

「ちょ、ちょっとぉ!アイツ普通のミイラじゃないわよ!」

「ツギハ....オマエダ....」

サナはそう叫ぶとレダシに向かって腰に付けていた岩に火をつけて何発も放ったが、レダシは避けようともせず、火球を全身に受けながらゆっくりとサナの方を向いた。レダシは火を浴びても全く動じず、何事も無かったかのようにサナに向かって歩きだした。

「な、なによッ!それならそれで火の勢いを上げてやるわ!」

そう叫ぶと火球の数を増やしてレダシにぶつけるが、全く怯まずサナに近づいてきた。

「アチ....アチチ....チョットアツイ....」

「いやッ!来ないでぇ!!」

「サナ危ないッ!この野郎ッ!!!」

アカネが起き上がって剣を思いっきり振ろうとしたらいきなり頬に強い衝撃が走った。その衝撃で真横に倒れてしまった。

「痛ったあああッ!?チックショおぉおッ!今度は何だッ!?」

アカネがヤられた方を見るとラクザンカがテーブルの上でケンケンしながら待っていた。その横にはユリもいた。

「よぉ巨人女、さっきはよくもやってくれたなぁ?アタシらに喧嘩売って覚悟出来てるんだろうなぁ!」

「覚悟?覚悟だとぉ?ウチらを見下すのもいい加減にしろッ!この虫けら共がッ!!!」

アカネがそう答えるとラクザンカはニヤッと笑った。そしてテーブルからジャンプするとそのままの勢いでアカネに蹴りかかった。その足には岩をも砕く程の力が込められていた。

「うおおぉおぉぉおおッ!!!」

「く……っ!」

アカネは咄嗟に剣を盾にしたが、その衝撃に耐えきれず地面に叩き付けられてしまった。しかし、アカネはすぐに体制を立て直すと今度はラクザンカに向かって剣をヤケ気味にブンブンと振り回した。

「このッ!このッ!!このッ!!!調子に乗りやがってーーーッ!!!」

振り回してる内にアカネの剣がようやくラクザンカに当たるが、それと同時にラクザンカが鉄板入りの靴で思いっきり蹴った事で剣の方がへし折れてしまい使えなくなってしまった。そしてラクザンカの蹴りをモロに受けて数メートル程吹き飛ばされてしまった。

「痛たたッ!な、何て奴だよッ!あのリスチビッ!」

ラクザンカの回し蹴りで折れ曲がった自分の剣を恨めしそうに睨み付けながら言うとアカネは起き上がり、カガリの居た方を叫んだ。

「カガリッ!アンタ何やってンだッ!さっさとこっちに加戦しろッ!」

だが、カガリは突っ立ったまま何故か一切動かなかった。それどころか耳を済ますとぐぅぐぅと寝息のような声が聞こえてきた。

「なッ!?カガリ、アンタ何寝てんのよッ!」

サナはそう叫んだ。だが、その声が届いていないのかカガリは起きる気配すらなかった。

「フッフッフッ....無駄じゃよ。こ奴は今、夢の中で暫く休戦中じゃ」

カガリの頭の上で座りながら語ってるのはシュンランだった。シュンラン達はカガリと戦ってる最中にシュンランが隙を付いて催眠魔法を掛けたのだ。掛かるのに時間が掛かってしまったが、何とかネモネアと協力して時間を稼いだお陰で何とか眠らせる事に成功したのだ。

「!?あのチビッ!余計な事をしやがってッ!」

アカネはそう叫ぶと剣を構えた。だが、ラクザンカの方が早く動き出し、アカネに蹴りかかった。

「よそ見してんじゃあねぇよッ!」

「く……っ!」

アカネは何とかガードするが、ラクザンカのパワーに押され、後ろに下がっていく。そこにサナが後ろからラクザンカに向かって火球を放つが、ラクザンカは振り向き様に足でサナの火球を蹴り返した。

「あっちぃ....なぁッ!!」

「な……ッ!?火が効かないなんて……!クッ!」

サナがラクザンカに火球が効かない事を悔しがってる間もなく、レダシはゆっくりと歩きながらサナに近づいて行った。その間にサナは両手に岩を持って連続で投げ付けるが、その岩も全て手で受け止められてしまい、レダシはそのまま一気に間合いを詰めると燃える拳で強烈なアッパーを咬まし、サナを叩き飛ばした。そしてまたもや轟音と共にサナが地面に叩き付けられた。

「ぐ……うぅ……」

「マダ...マダダ...」

サナは何とか立ち上がろうとするが、さっきよりもダメージが大きく立ち上がれなかった。レダシはそれを見てトドメを刺そうと右腕を振り上げたその時、後ろから剣がレダシの体を貫いた。アカネが何とか止めようとレダシに向けて剣を投げたのだ。レダシは刺さった剣を引き抜こうとすると、その隙にサナがレダシの顔を掴み、そのまま握り潰そうとした。

「はぁぁぁぁあッ!!!い、いくらゾンビだろうと頭潰されたら終わりだろッ!?」

「ア、アガ....アガガ....」

サナは顔を掴んでいる手に力を込めた。するとレダシは呻き声を上げて苦しみ出したが、何も起きないのを確認するとサナの顔に向かって腕を振りかぶって何度も何度も殴り付けた。その衝撃でサナはレダシを掴んでいた手を離してしまった。だが、そんな状態になってもアカネがすかさず襲いかかろうとしたが、いきなり体が重くなりそのまま前に倒れ込んでしまった。

「な、何だよッ!これ!?」

アカネは顔を上げるとそこには地面から魔方陣が出て、そこから生えてきた岩の手が足を掴んでいたのだ。アカネはその手を振り払おうと剣で斬りかかるが、全く効いていなかった。するとアカネの目の前の地面から今度は巨大な木の手が生えて来てアカネの両手と腹を殴り付けた。

「ぐは……ッ!く、くそぉお!う、ウチらかがッ!こんなチビ雑魚共なんかに....ッ!」

「散々好き勝手暴れたんだ。そのツケを支払う時だ。」

必死に抗っているアカネに対してラクザンカがそう呟くと飛び上がる準備をしていた。

「くそ……ッ!ウチはこんなところで終わる訳にはいかねぇんだよ……!おらぁッ!」

するとアカネがまだ動かせる片腕をラクザンカに叩き付けた。しかしラクザンカは瞬時に飛んで避けて、その上空で大きく回転し始めた。そしてそのままアカネの頭目掛けて回転の勢いで強烈なかかと落としを咬ました。

「これで、終わりだあああああッ!!!」

「うぎゃああああッ!!!」

アカネは空間に響く程の大絶叫を挙げながらそのまま地面に伏して、動かなくなった。どうやら気絶してしまったらしい。

「はぁ...はぁ....よし、残るはアイツだけか。」

ラクザンカがサナの方を睨むと、それに合わせるようにレダシがサナに殴り素振りを見せた。“うぅ”とサナは怯えて足が震えていた。するとミザァがサナの顔の横に行き、取引を持ち掛けた。

「どうしますか?このまま戦いを続行しますか?別に私達は構いませんが貴女方もこれ以上は無事ではすみませんよ。そこで、貴女方が今まで捕まえてきた人達を解放して、二度と人里を荒らさないと誓えますか?もし出来るのであれば私達はもう貴女方には掛かりません。どうですか?」

「わ……分かった。誓う、誓うからもう許して……」

ミザァがそう聞くとサナはあっさりと降伏し、サナを起こして契約の契りを交わし、人里を襲わないと誓わせた後、眠ったままのカガリとサナに命令して瓶に閉じ込めていた人達を全員解放して巨人達のアジトを後にした。

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