第23話決闘開始


決闘の時刻が近づきシャルロッテに起こされた僕は決闘場に足を運んだ。


「なんか人多くない?」


会場に着き、生徒の多さに僕は眉を顰める。こうまで人が多いと目的の場所までたどり着くのにも時間がかかって仕方ない。


「当然ですわ。アルス様はこの学院の頂点に立つ方。その方の戦いを見られるのですからほとんどの生徒は観戦に参るでしょう」


僕の問いに誇らしげな顔をしてシャルロッテが答えてくれた。


「そうだよ。それと、アルスはずっと非公開決闘でしか戦わないから、一般生徒からしたら君の戦いを見られるのは貴重なんだよ」

「あ、先輩」

「シリウス先輩、こんにちは」


僕とシャルロッテの2人で話しながら歩いていたら、シリウス先輩が後ろから話に割り込んできた。


「やぁ、アルス。調子はどうだい?シャルロッテさんもこんにちは」


爽やかな笑みで僕らに挨拶をするシリウス先輩。


「いつも通りだよ。いつも通り、僕が勝つんだから先輩は来なくてもいいのに」


序列10位以内なら特権の映像魔法でいつでも決闘を見放題なのだから会場まで来

なくてもいいはず。だから帰ってください。


「はははっ、そうもいかない。今日は俺が審判をするんだから」

「ああ、そういえばそうだった」


思い出した。確かにイリアが言ってた気がする。序列10位以内の者同士の戦いになるのだから、巻き込まれないようにある程度実力のあるものが審判になる必要がある。

それで選ばれたのが先輩だったわけだ。


3人で歩き、決闘者の控え室と観戦場の分かれ道まで来た。シャルロッテとはここで別れる。


「それでは私はここで。アルス様、頑張ってください」

「うん、ありがとう。頑張ってくるよ」


シャルロッテが見えなくなるまで見送ってから僕と先輩は控え室へ向かった。


「相手のシスナさんの戦闘は見たのかい?」

「入学式後の模擬戦の戦いは見たよ。大体の能力の把握は済んでると思う」


目には見えない精霊を使役する、それが彼女の能力。厄介な能力だが分かっていれば対策は幾らでも出来る。あとはリーア聖国の聖女として回復魔法を扱えるのだろうが、そちらは警戒するに値しない。


「そうか。まぁ油断しないようにね」


なんだか含みのある笑みを見せたのが気になったが追求せず、目的地まで他愛ない話をして僕らは向かった。


シリウス先輩とも別れ、僕は控え室で決闘まで待機していた。


「アルスさん、時間です。会場へ向かってください」


進行役のイリアが部屋へやって来て、やっと決闘の時間となったようだ。今日は朝早くからこの会場で準備をしていたらしいイリアの顔を見るが疲労を感じることのない凛とした表情をしており、頭が下がる思いだ。


「イリア、お疲れ様。大変だったでしょ?あんなに観客が来るなんて予想してなかったんじゃないの」


僕は控え室にあった飲み物をイリヤへ渡し労いの言葉をかける。


「ありがとうございます。観客に関しては予想通りでしたが、ずっと働き詰めで大変だったのは間違いないです」


あ、予想通りだったのか。僕が思ったより今回の決闘は生徒にとって結構なイベントとなっていたみたいである。


「会場はほぼ満員。実況役まで買って出る方もいらっしゃいました。それだけ注目を集めている試合なんですよ」

「そっか。それだけの生徒に負ける姿を晒されるなんて可哀想だな、シスナさん。同情してしまうよ。ロベルト先輩は鬼畜だな」


まったく!後輩イジメも大概にしてほしいよ。僕は公開決闘に変更したロベルト先輩に対して憤りを感じた。


「……本当に余裕そうですね。シスナさんを応援したくなりました」


冗談ではなくマジのトーンで言っている気がする。程なくして会場の入り口にたどり着いた。


「じゃあ行ってくる。見ててね」


僕は会場へ行こうとしたがイリアが呼び止める。そして、彼女は躊躇いがちに僕に言った。


「あの…が、頑張ってください!」


僕は一瞬呆気にとられたが、直ぐに満面の笑みを浮かべてイリアに言葉を返す。


「うん!頑張ってくる」



「おおっ…」


こんな大勢の人の前で決闘なんてしたことないから驚いてしまう。うるさいし目障りなので魔法を放ちたくなるが、まぁ我慢だ。


決闘場の中心にはすでに審判のシリウス先輩と対戦相手のシスナさんが立っている。そこへ向かい、一応待たせたので謝罪しておく。


「ごめん、待った?」

「ううん、今来たとこ。シスナさんも僕の後に来たから大丈夫だと思う」


良かった。なら安心だ。ホッとしている僕にシスナさんが声をかけてきた。


「…………アルス先輩。決闘を受け入れてくださりありがとうございます。私が序列1位となりましたら、先輩にお願いがございます。聞き入れてくださいますか?」


急になんだ?内容も教えてもらえず了承なんて普通しないけど、どう考えたって僕が負けることなんてないからオーケーだ。


「いいよ。そもそも序列1位の特権の絶対命令権があるのだから僕に断る権利なんてないだろうし」

「2人ともそろそろいいかな?」


先輩が言葉に僕らは揃って返事をし戦闘態勢へと切り替える。


「では、はじめ!!」

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