第26話:クラン結成
デスゲーム合法化の経緯:
この世界には「予知者の会」と呼ばれる最高権力機関がある。予知者の会の指示の元、約30000人の予知能力者たちが世界各地で未来を変えまくり、事故・事件による死者数0人の状態が30年以上続いていた。
しかし、今度は異能力の使用機会を失った治癒能力者たちのレベルが徐々に低下し、このままでは死者を蘇生できる者がいなくなるという問題が浮上した。
これを危惧した予知者の会は10年前にデスゲームの合法化を決定。それ以来、多くの治癒能力者がデスゲーム運営会社に勤務し、デスゲーム参加者たちを日常的に蘇生するようになったことで、かつての力を取り戻しつつあった。
――――――――――――――――――――
参加者たちが解散した少し後、重影 翔と霊泉 葵は会場内に残っていた。2人の戦いを見に来ていた安楽岡 剛と合流する予定だったのだが、まだ集合場所に決めていた休憩スペースに現れていない。
「安楽岡、中々来ないね」
「会場が大き過ぎて迷ってるのかもな」
突然、霊泉は異能力「透明化」を発動して姿を消した。
「葵?」
ここで、後ろの席に1人の男が座る。
「……あ、」
振り返ると、その男は霧峰 柏太だった。
「んおーお前さっきぶっ〇してやった奴だなぁ」
「誰と勘違いしてやがる。俺は重影だ。最終2位でタイマン賞の。覚えてるか?」
「覚えてるぜ? えー……素早く動いてた奴だろ」
(絶対覚えてないだろ)
「あ、見つけた」
「重影 翔くんと霧峰 柏太くんだね」
声がした方を見ると、2人の女子高生が立っていた。
(どっかで見たような……っ!)
「……笛野姉妹」
「んぇ! 本物!?」
「いい反応だね」
声を掛けてきたのは1級異能力者の双子、笛野 向葵と笛野 結月だった。厳密には2人ではなく3人であり、向葵の方はなぜか北鍋 牡丹の首根っこを掴んでいる。
「なんで北鍋掴んでるんだ?」
「私たちの新しい仲間だよ。ほら、牡丹ちゃんもご挨拶」
「……ぴえん」
「「きもっ」」
「実は私たち、新しくクランを設立しようと思ってて仲間を探しててな」
「そう。ぜひ2人にも入って欲しいんだよ」
(ああ、そういうことか)
しかし、重影は笛野姉妹の誘いを断る。
「悪いが入れない」
「えー何で?」
「他に入るクランを決めてるからな」
「そっか。それなら仕方ないね」
「おいらは入ってもいいぜ」
「お、ありがとう。柏太でいいかな」
「おう」
「それじゃ行こっか、クラン作るにはあと1人必要だから仲間を探しに行こう」
「凛とか入ってくれそうじゃねぇか? 入るクラン探してるって言ってたし」
「あの分身の子? いいねぇ」
クランへの加入を承諾した霧峰は笛野姉妹に連れられ、仲間を探してどこかへ歩いていった。
「……ふぅ」
「びっくりしたね」
いつの間にか霊泉が透明化を解いていた。
「思わず隠れちゃったよ。1級なら有力クランの人とか誘えば集まりそうじゃない?」
「いや、下手にメンバー引き抜いたりするとヘイト買ったりする可能性もあるからな。4級以下でまだクラン入ってない奴を入れるのが確実なんだろう。さて、」
重影は霊泉を見る。
「俺たちもメンバー集めないとな」
「あと2人だっけ」
前回のバトルロイヤルの少し前に、重影と安楽岡はクランを結成することを決めていた。霊泉も加わって3人になったがクランを結成するにはメンバーが5人以上必要であるため、あと2人集める必要がある。
「あ、そうだ。闇沢ちゃんたち誘ってみようよ」
「良いな。今は超神威の奴らと飯行ってる筈だからメール入れとくか」
「うん」
「やっと見つけた。おーい、」
ここで、2人の元に安楽岡が到着した。
「2人ともお疲れ様。良い戦いだったよ」
「ありがとう」
「またギリギリ優勝逃したけどな」
「俺たちみんなまだまだったことだろうな。じゃ、飯行こうぜ」
「おう」
3人は飲食店を探すため会場を出ることにした。
「そういえば2人の複合異能力、初めて見たよ。練習とかしてたのか?」
「いや、今日初めて使った。瞬間移動だけど実戦で使うには正直微妙かも」
複合異能力の弱点の1つが、2人で触れ合っているときにしか使えない点である。異能力「瞬間移動」は単なる移動だけでなく連続で使用して接近戦に用いることも多いため、単独で使用できない複合異能力の瞬間移動は劣化版のイメージが強い。
「でも、割と長距離も行けそうだから何かに使えるかも」
「メンバー揃ったら、とりあえず全員の複合異能力を確認だな」
「ああ。チーム戦でメインで使う複合異能力とか、組み合わせとか決めとかないとだからな」
「私は翔くんと複合異能力使いたいな〜。今日もそのおかげで東条に勝てたし」
霊泉は楽しそうに笑う。
「クラン結成するの、楽しみだね」
「そうだな、葵」
「葵呼びになってる!?」
「お前もかよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます