第17話:集落、消滅
冬海 凍次は異能力「氷使い」で右手に氷の刃を出現させつつ、目の前にいる2人を観察する。
(糸瀬 賢二と暴川 大介。2人とも武器は長剣か。いや、糸瀬のだけ少し見た目が違うな)
糸瀬は異能力「糸使い」で生成した剣を伸ばし、臨戦態勢を取る。
(あの剣、糸瀬の異能力で糸を纏わせて自在に伸ばして変形させられるのか。面白い)
冬海はまず糸瀬に接近するが、糸瀬の剣が高速で伸び冬海に迫る。
『ガキーーン!』
「っ!」
(あの糸剣柔らかいのかと思ったら結構硬いじゃねぇか。それに、上手く変形してこっちの力を吸収される)
冬海は一旦距離を取り、2人の周りを高速で走る。
(糸瀬は防御力高そうだな。となると先に暴川を倒した方が良いのかな)
今度は暴川に接近する。
(暴川の異能力は確か爆発だったな。発動させる前に一瞬で仕留めるのが良さそうだ)
冬海は暴川に接近し氷の刃で斬りかかるが、暴川は剣で上手く受け流し異能力「爆発」を発動。
(何っ!)
『ドーーン!』
冬海は左手に氷の盾を出現させ、一旦後ろに飛び退いてダメージを防ぐ。
「おらぁっ!」
そこに暴川が長剣を振り上げ突進してくる。
(一瞬近づくだけでも高リスクな爆発能力に加えて、あいつ自身も近接戦闘能力が高いってわけか。そういえば優勝候補だったな)
冬海は2本の氷柱を出現させると暴川に向けて発射。一瞬遅れて冬海自身も暴川に向かう。
『ドーーン!』
しかし、冬海は暴川が爆発を発動する直前に後ろに飛び退き、再び氷柱を放つ。
(これを繰り返せばすぐに消耗させられる……っ!)
突然、地面から糸の刃が伸び、冬海の脚を掠める。さらに糸の刃が次々に伸び、冬海は後退して回避する。
「痛ってえな」
「何だ今の!」
(暴川が驚くんかい。それは読めんわ)
「俺の奥の手だったんだけどな。まさか初見で避けるとは」
(糸瀬に集中する隙を与えると地面から糸の刃が来る。どうしたもんかな)
冬海は再び走り始める。
(普通に行くならこの中で一番弱いやつをまず狙うべきだろう。奥の手を放ったタイミングに合わせて糸瀬に斬りかかるか? いや、この場合は……)
2本の氷柱を出現させ暴川に放ち、冬海自身も暴川に接近する。
「この俺に同じ手が何度も通用するかよ!」
暴川はもう一度長剣で防ごうとするが、冬海はそれを一撃で砕く。
「何だとっ!」
(この中で一番弱い、暴川の長剣は砕いた。次は暴川自身を)
『グサッ』
「っ!」
冬海はそのまま氷の刃で暴川を斬ろうとしたが、直前に暴川の背後から糸の剣が伸び、暴川の胸を貫いた。
「てめぇ! 裏切りやがったな!」
「共闘は雪能力者倒すまでって言っただろうが」
(糸瀬が暴川を裏切ったってことか……? キル横取りされたな)
次の瞬間、暴川は最後の力を振り絞り、異能力「爆発」を発動させる。
((まずいっ!))
『ゴォォォォォォ……!』
暴川は異能力で、集落を丸ごと消し飛ばした。
「暴川 大介、脱落。残り11名」
「大丈夫ですか? 冬海さん」
闇沢に声を掛けられ、冬海は目を覚ます。
「冬海さんでも気絶とかするんですね」
「俺を何だと思ってるんだよ。それで、あの後どうなったんだ?」
「暴川さんは死にましたよ。糸瀬さんは集落があった場所から東に逃げて行きました」
「集落があった場所? ……おお、」
冬海は周りを見る。2人がいる場所は集落の西にある丘で、集落があった場所には巨大なクレーターが出来上がっていた。
「あれが暴川の本気か。逃げるのが一瞬でも遅れてたら死んでたな」
冬海は傷口を凍らせて塞ぐと、再び横になる。
「悪い、少し休ませてくれ」
「良いですよ。今近くに敵はいないので、休めるうちに休んでください」
闇沢がそう言うと、冬海は目を閉じた。
(さて、と)
闇沢は異能力「千里眼」を発動させ、フィールド全体を把握する。
(そろそろ芋ってる組もどうにかしないと漁夫の利されそうだね。
(フィールド北西にいる
闇沢はフィールドの南西、八刀島と霧峰のチームの監視を始めた。
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