魔法少女爆誕??②

「コウ!最近、どうよ?」


「やってるよ! 高校入ってバイト出来る様になったら欲しいハンドガンあるんだよね」


「何? グロック18?」


「M93RII ヘヴィウェイト」


「あの3点バースト射撃ができるヤツ? いいじゃん!」


「だろ?」


 剣道部所属のサバゲー大好き女子『コウ』こと『丘浩美おかひろみ』にとって『神藤涼眞』はあくまで“同好の士”であり、他の女子の様に“憧れ”の対象ではない。

 一方、涼眞にとってコウは、部活では女子なのに自分と力を拮抗させている負けられないライバルだし、素で話せる貴重なでもある。

 それでも彼は彼なりに気を遣っていて……浩美が『は間違ってもテニスだけは絶対やんねえ!!』と忌み嫌っている彼女の名前を『コウ』と読み替えて呼んでいた。


 まだ照り付ける夏の日差しの中、防具リュックを背負い竹刀袋を肩に掛けて、こんなとりとめのない話をしながら学校を出た二人は『神社脇にあるかき氷屋さんへ行こう!』と鎮守の森を目指した。


 小高い山の上にある神社に参拝するのには、ちょっとした店が並ぶ登山側と混み合った時にしか使用される事の無い寂れた下山側の二つのルートがある。


 二人がその『下山側』に差し掛かった時、空は夕立が落ちるかのように俄かに黒い雲に覆われ、地の底で何かがドーン!とぶつかる音がした。

 と、ゴゴゴゴゴと地響きがして、元から傾いていた古い石造りの灯篭達がお互いぶつかりながら折り重なって倒れた。


 こんな状況では立ってはいられずに尻餅を付いた二人の足元が土砂を吹き出しながら割れ拡がり、太さが1メートル以上もある“巨木”が物凄い勢いで天に向かって伸びて行った。


『「!!!!」』


 巨木のこずえと思われたその先端がグニャリ!とこちらへ曲がり、左右にくっついたガラス玉が二人を見下ろしている……


「ヘビ……?」とコウが口走るより早く“鎌首”は大きく口を開けながら涼眞の上に降り注ぎ、彼をズボン!と飲み込んだ。


「ギャアアア!!!」

 叫び声を上げながらコウは竹刀を抜き出し、不気味に光る“ヘビ”の右目へ思いっきり突き刺した。




               

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